artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

《豊の国情報ライブラリー》ほか

[大分県]

大分の2日目は、まず、磯崎新による《豊の国情報ライブラリー》を訪問する。吹抜けの玄関はミケランジェロによるラウレンツィアーナ図書館前室のオマージュだが、ほかにも閲覧室のデザインからは、アアルト、ワグナー、ブルネレスキ、百柱の間、孤篷庵など、さまざまなイメージを読みとれる。ともあれ、天井はかなり高く、什器の配置でも空間があまり影響されない。力強い建築である。

2016/08/28(日)(五十嵐太郎)

《浜脇の長屋》

[大分県]

別府にて、《浜脇の長屋》に泊まる。別府現代芸術フェスティバル2012「混浴温泉世界」の際、アーティストの廣瀬智央が制作した作品で、《天空の庭》(一階からの青い光に包まれた、強化ガラスの上の寝室)と《カボスの家》(リビング、キッチン、トイレなど)の向き合う二棟を贅沢に味わう。ただし、お風呂はなく、近くの温泉を使うことになる。

写真:上=《浜脇の長屋》 下=《カボスの家》

2016/08/27(土)(五十嵐太郎)

《House N》

[大分県]

竣工:2008年

夕方、藤本壮介による《House N》を訪問する。前回は青木淳さんと一緒に10分ほどしかいられなかったが、今回はつい1時間近く滞在してしまった。施主が最初はこれが家?と思ったように、一見ヤンチャな建築である。だが、丸見えのようで、巧みに視線をかわしながら守られた住宅になっており、実はとても落ち着く、居心地のよい内部空間で、何より住人がとても気に入っていた。

2016/08/27(土)(五十嵐太郎)

《大分県立美術館》ほか

大分県立美術館[大分県]

《大分県立美術館》でランチを食べた後、副館長の案内により、免震、空調、搬出入、自然光の状態、展示の照明や可動壁など、使用者サイドからいろいろと建築についてうかがう。続いて、アルカイック建築都市設計事務所のオフィスを訪問する。公園前のコンクリートブロックの要塞だが、内部に入ると、中庭に開かれたカッコいい空間が展開する。インドネシアで見学したモダニズムの住宅を想起させる。

写真:左上=《大分県立美術館》 左下・右=アルカイック建築都市設計事務所

2016/08/27(土)(五十嵐太郎)

《大分市アートプラザ》ほか

[大分県]

東北大の五十嵐研のゼミ合宿で大分に移動する。最初は磯崎新のミュージアムとなった《大分市アートプラザ》を元所員の吉野弘さんの案内でまわり、貴重な話をうかがう。開催中の三沢厚彦展は、リアルとイメージのあいだに位置づけられるキャラ的な動物彫刻が集合し、空間との対話も試みる。続いて、《岩田学園》へ。磯崎の初期作品となるマッシブなコンクリートの校舎から青木淳が担当したポストモダンの体育館や学生寮まで、教頭先生に面白く解説していただく。

写真:左=上から、《アートプラザ》《岩田学園学生寮》《岩田学園体育館》 右=《岩田学園》

2016/08/27(土)(五十嵐太郎)