artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
《直島パヴィリオン》ほか
[香川県]
直島へ。宮浦港に船で到着すると、草間彌生の《赤かぼちゃ》と同様、藤本壮介による《直島パヴィリオン》がすぐに目に入る。町制施行60周年記念事業でつくられたものだ。浮島現象をイメージしつつ、ステンレス製の網で多面体の籠のような場がつくられ、内部に入ることもできる藤本らしい建築的なオブジェである。
2016/08/13(土)(五十嵐太郎)
ヤノベケンジ シネマタイズ
会期:2016/07/16~2016/09/04
高松市美術館[香川県]
喫茶店・城の眼で休み、高松市美術館の「ヤノベケンジ シネマタイズ」展へ。彼の主要作が集合しているが、これまで多くのプロジェクトの初登場を見てきたので懐かしい。今回の目玉は、林海象、永瀬正敏らとの映像プロジェクトと、ウルトラに対峙する風神の塔である。あいちトリエンナーレ2013では、館内で水を使うことがどうしても許可されず、ヤノベさんに諦めてもらったが、ここでは思い切り実現している!
2016/08/12(金)(五十嵐太郎)
《掬月亭》
[香川県]
早稲田大・中谷礼仁研による柱間装置の文化誌プロジェクトで制作した映像が素晴らしかったので、高松に戻り、栗林公園の《掬月亭》に足を運ぶ。必ずしも知名度の高い文化財ではないが、映像だけでなく、確かに実物の空間が素晴らしい! ちょうど雨戸を閉めるタイミングに遭遇した。しかし、ここにも容赦なく、ポケストップがある。
http://madoken.jp/research/study-on-hashirama-sochi/802/
2016/08/12(金)(五十嵐太郎)
《丸亀市立城乾小学校》ほか
[香川県]
続いて、毛綱毅曠が手がけた小学校を見る。これは激しい造形のポストモダンだ。そして2階にカリアテッド=女性像柱が並ぶため、前々から個人的に「丸亀エレクテイオン」と命名している駅前の小さな店舗が、テナント募集ながら、かろうじてまだ存在していることを確認した。経済のサイクルが激しい大都市なら、とっくに壊されているはず。
写真:上=《丸亀市立城乾小学校》 下=丸亀エレクテイオン
2016/08/12(金)(五十嵐太郎)
《丸亀市猪熊弦一郎現代美術館》
丸亀市猪熊弦一郎現代美術館[香川県]
四国に移動し、久しぶりに《丸亀市猪熊弦一郎現代美術館》へ。谷口吉生によるMoMAのリニューアルを見てからは初めての訪問だったので、空間の共通性が強く感じられる。ただし、丸亀の館内はニューヨークと違い、人で混雑しない。ザ地方都市の駅前で奇跡的な美しさを発揮している。また美術館と図書館を現代風に融合させず、明快に分離し、純度の高いアートスペースを確保している。金氏徹平の個展は谷口の空間と格闘していた。
写真:左=《丸亀市猪熊弦一郎現代美術館》 右上=金氏徹平のメルカトル・メンブレン 右下=《丸亀市立図書館》
2016/08/12(金)(五十嵐太郎)