artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
宇宙と芸術展
会期:2016/07/30~2017/01/09
森美術館[東京都]
タイミングがあったので、「宇宙と芸術展」@森美術館の内覧会へ。おそろしく混んでおり、とても鑑賞できる状態でない。これならば、普通の日に行けばよかった。現代美術はもちろんあるのだが、むしろ過去の宇宙観を示す絵や観測機器など、歴史の重みをもつ博物館的なコンテンツが結構多く、思っていたよりも面白い。グラッソやティルマンスは最近日本で紹介されたのと同じ作品だった。
2016/07/29(金)(五十嵐太郎)
アカデミア美術館所蔵 ヴェネツィア・ルネサンスの巨匠たち
会期:2016/07/13~2016/10/10
国立新美術館[東京都]
アカデミア美術館のコレクションである。ベッリーニからティツィアーノ、ティントレット、ヴェロネーゼ、バッサーノへと、静から動きを孕みながら、たたみかける前半の内容がいい。後半は肖像画やポスト・ルネサンスの展開だが、ややパンチ力に欠ける。同時開催のルノワール展の激混みとは好対照で、まばらな観客だったおかげで、とても見やすい。
2016/07/29(金)(五十嵐太郎)
スミルハン・ラディック展 BESTIARY:寓話集
会期:2016/07/08~2016/09/10
TOTOギャラリー・間[東京都]
「スミルハン・ラディック展 BESTIARY:寓話集」@ギャラリー間へ。久しぶりに、美しい建築展と遭遇した。むろん、オブジェ的な模型は懐かしくもある。最近、卒計イベントでもプロジェクトの「正しさ」が求められる傾向が顕著だが、こういう文学性や芸術性の強度で勝負する詩的なタイプの建築表現がめっきり減っているのは寂しい。
2016/07/29(金)(五十嵐太郎)
トーク 川俣正のアートプロジェクト
会期:2016/07/24~2016/07/25
仙台市営地下鉄東西線国際センター駅2階市民交流施設 青葉の風テラス[宮城県]
川俣正のトークで聞き手をつとめるために、仙台の国際センター駅へ。いつも通過していた駅だが、この場所は京阪なにわ橋駅アートエリアB1のように使えたらいいと思う。前半のレクチャーでは、初期の過激な造形から社会的プロジェクト、道、橋、塔、ツリーハウスのタイプへの展開を話し、近作はいわゆる「地域アート」と違う参加と見せ方を試みるという。せんだいメディアテークが新しくアート・ノードの事業を立ち上げるのに、皮切りとして川俣正のトークが行なわれたが、彼も仙台でプロジェクトを始めるべく、サイトのリサーチに着手するという。これも含めて、今後、全国で濫立する芸術祭とは異なる方法論が仙台で模索される。
2016/07/27(水)(五十嵐太郎)
マンスリープロジェクト リーディング公演「門」別役実作
会期:2016/07/24~2016/07/25
新国立劇場小劇場[東京都]
主に欠勤中の公務員と靴みがきの門番によるシンプルな設定から始まり、会話が続くなかで両者の立場と状況が変容し、だんだん物語がねじまがっていく、別役実の作品らしい展開だ。最後になって、カフカの小説「門」ともオーバーラップしていく。朗読劇ながら、ミニマムな舞台美術も効果的だった。
2016/07/24(日)(五十嵐太郎)