artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
ズートピア
PC(ポリティカル・コレクトネス)を踏まえて、種の多様性と共存を謳う理想都市の現実と希望を描いた映画だ。物語は、ウサギとキツネのバディによる連続失踪事件と陰謀の捜査を通じて、最後までぐいぐい引っ張っていく。いまだからこそ世界に問うべき、ヘイトと差別が扇動される人間社会の明らかな寓話だが、それを省いたとしても、アニメでしか表現できない動物世界の実在感が魅力的である。
2016/06/01(水)(五十嵐太郎)
浜田麻里 Mari Hamada Tour 2016 “Mission”
会期:2016/05/29
東京国際フォーラム ホールA[東京都]
昨年のラウドパークでとてもよかったので、浜田麻里@東京国際フォーラム。デビューして30年が過ぎても、3時間のライブで疲れをまったく感じさせないウルトラ・ハイトーンボイスは、もはや強靭な楽器の領域だった。往年の名曲は抑え気味であり、挑戦を続ける求道者と言うべきか。ドラムは昔よく聴いた44マグナムのJOEだったのか。
2016/05/29(金)(五十嵐太郎)
イキウメ「太陽」
会期:2016/05/06~2016/05/29
シアタートラム[東京都]
映画化もされたイキウメ「太陽」@シアタートラム。この劇団の作品が好きでよく見ているが、これは確かに傑作である。太陽がもたらす二項対立は、人間や価値観を分け(差別)、内部と外部、あるいは新旧といった時間や空間の境界線もつくり出す。いつものように、SF風の設定だが、科学的な理由には触れられず、むしろドラキュラの物語のバリエーションを通じた人間社会のアレゴリーとも言える。登場人物はあえてステレオタイプな造形だが、それで終わらせず、複雑な葛藤を抱え、それぞれの未来を選択する。なじみのメンバーに加え、清水葉月が参加し、華を添えた。
2016/05/29(金)(五十嵐太郎)
富士ゼロックス版画コレクション×横浜美術館 複製技術と美術家たち─ピカソからウォーホルまで
会期:2016/04/23~2016/06/05
横浜美術館[神奈川県]
富士ゼロックスゆえの複製芸術である版画コレクションと、同館のお蔵出しを掛けあわせて、近代以降の美術史をたどる。特に70年代ゼロックスアート、作家本、エルンストやマザウェルが収穫だった。ところで、今回の展示には作品リストがなかったのは残念である。
2016/05/29(金)(五十嵐太郎)
相田武文 展
会期:2016/05/23~2016/05/29
建築家会館 大ホール[東京都]
会場の空間を大きな積み木の組み合わせで構成しつつ、1970-80年代の積木の家シリーズ、渋谷の都市建築のファサードのデザイン・サーヴェイ、「AIDA BLOCK」セット、ワークショップの成果などを紹介する。現代の風潮と違い、建築に明快な自立的形態が存在する強さを感じる。
2016/05/27(金)(五十嵐太郎)