artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
オルセー美術館・オランジュリー美術館所蔵 ルノワール展
会期:2016/04/27~2016/08/22
国立新美術館 企画展示室1E[東京都]
オルセー美術館からコレクションを借りて、肖像画、風景画、子ども、花、裸婦などのテーマに分けながら、女性がふくよかになる彼の軌跡もたどりつつ、舞踏など同時代の背景も紹介する。次男ジャン・ルノワールの色鮮やかな映画『フレンチ・カンカン』も会場で流す。また会場では、公園のようなベンチを置く空間構成を試みており、場の雰囲気を変えていた。
2016/05/19(木)(五十嵐太郎)
MIYAKE ISSEY展:三宅一生の仕事
会期:2016/03/16~2016/06/13
国立新美術館 企画展示室2E[東京都]
三宅一生の仕事展@国立新美術館。大きく分類すると、素材、幾何学、そして日本的なものをいかに組み込むかが切り口となったファッション・デザインである。伝統への意識は、同時代の建築やグラフィックにも共通するテーマだろう。ただし、現在の方が日本らしさの表現はベタかもしれない。建築とファッションを比較した同館のスキン+ボーンズ展のときも、A-POCを天井から吊るして大空間のインスタレーションを展開したが、今回は彼の個展だけにさらにパワーアップしている。
2016/05/19(木)(五十嵐太郎)
いま、被災地から ─岩手・宮城・福島の美術と震災復興─
会期:2016/05/17~2016/06/26
東京藝術大学大学美術館 本館展示室[東京都]
途方もない若冲展の大行列を横目に、東京藝大の大学美術館「いま被災地から─岩手・宮城・福島の美術と震災復興─」展へ。第一部は東北地方の近現代美術を紹介しており、めずらしく人型を用いた青野文昭の新作も楽しむことができた。第二部は、各地で被災した作品レスキューのドキュメントと修復された作品の展示である。ビフォーとアフターを比べると、それがいかに大変な作業なのかがよくわかる。
2016/05/18(水)(五十嵐太郎)
日伊国交樹立150周年記念 カラヴァッジョ展
会期:2016/03/01~2016/06/12
国立西洋美術館 企画展示室[東京都]
世界遺産入りの見通しが立ったことにより、大勢の人で賑わう国立西洋美術館へ。カラヴァッジョ展は、本人の作品点数こそ多くはないがけっこういい絵が来ており、同時代や後世の彼のフォロワーとを比較できるのが嬉しい。類似した絵と並べることによって、色、表情、構成など、カラヴァッジョの卓抜した力量を確認できるからだ。特になぜかちゃんと額装されていない、明らかに下手な絵があって、あまりにレベルが違う。
2016/05/18(水)(五十嵐太郎)
高橋一平《Casa O》
[東京都]
竣工:2014年
高橋一平による小さな家のリノベーション、《Casa O》を見学する。木密地域の近接性ゆえに、隣家の古びた外壁が、室内の色と共鳴しつつ内壁のように見え、その隙間の上部から光がさす。いわゆるコミュニケーションとしての窓とは違う、拡張された壁をつくる大きな窓である。また家が小さいために、手前の開口から奥の開口が近く、正面のアプローチから家の向こうの風景までが通常とは違うスケール感をもち、家をすり抜けていくかのようだ。そして異界の2フロアを切断しつつ、曲がった階段が両者をつなぐ。
2016/05/14(土)(五十嵐太郎)