artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
《高知市文化プラザかるぽーと》ほか
[高知県]
竣工:2001年
これはデカイ円筒の建築である。このサイズなら都市デザインに連動してほしいが、残念ながら、そうした文脈はない。《高知よさこい情報交流館》、魚の棚商店街など見つつ、高知城下の文学館・図書館へ。両方とも外観は石垣風であり、独特の存在感だった。その後に《寺田寅彦記念館》を訪れる。かつて彼が暮らしていた家の復元だが、清々しい。県庁舎はモダン建築である。
写真:左=上から2つ《高知市文化プラザかるぽーと》、文学館 右=上から、文学館、図書館、寺田寅彦記念、県庁舎
2016/05/22(日)(五十嵐太郎)
内藤廣《高知県立牧野富太郎記念館》
[高知県]
竣工:1999年
竹林寺の隣がちょうど植物園なので、内藤廣が設計した《牧野富太郎記念館》を再訪する。時間が経っても全然劣化を感じさせない名建築である。傾斜地と高さを変えながら曲線を描く屋根のあいだに生まれる空間。ただし、1957年没の牧野博士の作業場再現の展示は、新聞の山をみると1990年代が置いてあって、なんだかツメが甘い。
2016/05/22(日)(五十嵐太郎)
竹林寺納骨堂
[高知県]
竣工:2013年
今年、日本建築学会賞(作品)を受賞した堀部安嗣による竹林寺納骨堂へ。傾斜をのぼって、最初はびっくりするほど低い建物がまず見える。そして入口の庇にたどり着き、やっと少し高くなる。直方体のコンクリートのヴォリュームに入ると、垂直に伸びる通路の奥から水の音が誘う。古建築や樹木に囲まれた絶好の環境にぴったりとはめ込まれた幾何学と細部である。
写真:右上=竹林寺 ほか=竹林寺納骨堂
2016/05/22(日)(五十嵐太郎)
大原治雄写真展 ─ブラジルの光、家族の風景
会期:2016/04/09~2016/06/12
高知県立美術館 第2・3展示室[高知県]
高知県立美術館「大原治雄写真展 ─ブラジルの光、家族の風景」展。全然知らない人だったが、とてもよい内容である。高知生まれで農業移民としてブラジルに移住し、趣味でカメラを触るようになった。ブラジルの変遷、家族の姿、風景、作業具をモダンな視線で見事にとらえている。辺境の地における近代の受容のされ方としても興味深い。同館では、パラオで美術教育/制作などを行なった土方久功展が開催中で、石元泰博の常設もあり、高知ゆかりの作家の海外展開を紹介している。ところで、ホールも抱えた巨大施設は、ぎりバブルの恩恵を受けた愛知芸術文化センター的なヴォリューム感。またデザインは伝統的要素を組み込み、ポストモダンの時代を反映している。設計は日本設計、山本長水らによるもの。
写真:高知県立美術館
2016/05/22(日)(五十嵐太郎)
内藤廣《JR高知駅》ほか
[高知県]
日本建築家協会四国支部大会2016「その日のためのまちと建築」の基調講演を行なうために、高知へ。以前、Rizzoliからルイ・ヴィトン本の原稿を依頼されて、乾久美子の手がけた店舗を訪れて以来だから、8年ぶりの訪問である。が、ルイ・ヴィトンは撤退し、当初の面影がない改造がなされたようだ。一方、《高知駅》は内藤廣の設計によるダイナミックな建築に姿を変えていた。彼らしい架構形式が空間と表情をつくっている。
写真:《高知駅》
2016/05/21(土)(五十嵐太郎)