artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
写真展 映画館 映写技師/写真家 中馬聰の仕事
会期:2016/04/12~2016/07/10
東京国立近代美術館フィルムセンター[東京都]
国立近代美術館フィルムセンター「映画館」展は、映写技師/写真家の中馬聰が日本各地で撮影したあじわい深い、古い小さな映画館群を紹介する。地域のコミュニティの場となった藤井光の映画『ASAHIZA』のような場所はどこにでも存在する、という風に受けとめることができた。またフィルムセンターからも戦前の壮麗な映画館の写真を紹介する。これらは千人以上の箱も少なくないが、モダニズムやアヴァンギャルドなデザインの大衆的な需要として興味深い。
2016/05/27(金)(五十嵐太郎)
AGC studio Exhibition No.17 U-35 Young Architect Japan. 多様な光のあるガラス建築展
会期:2016/04/21~2016/07/16
京橋のAGC studioにて、昨年のU-35メンバーによる「多様な光のあるガラス建築」展を見る。今回は高濱史子の提案が最優秀賞に選ばれ、湾曲する極薄のガラスで自立する小さなパビリオンを会場内に建設していた。
2016/05/27(金)(五十嵐太郎)
九段会館
[東京都]
九段会館の建替え検討をどう思うかについて、NHKから取材を受ける。必ずしも好きな建築ではないが、残り少ない1930年代の時代精神を表わす気合を入れた東京の近代建築であるし、屋根がキャラをもった帝冠様式の重要な事例だから、負の記憶も含めて、なるべく保存する道を探してほしい。流行りのガラス張り商業施設+外壁一部保存を九段でやっても仕方ないだろう。保守は「伝統」が大事なのではと思うのだが、どうもそう考えられてはいないらしい。
2016/05/25(水)(五十嵐太郎)
スティーヴ・ハケット”ACOLYTE” to “WOLFLIGHT” plus Genesis Classics
会期:2016/05/23
なんばHatch[大阪府]
なんばHatchのスティーヴ・ハケットのライブは、2時間超えで大満足の内容だった。指で弾くギター奏法がユニークであり、拍の頭でもダウンではなく、必ずアップから弾く。音の選び方のせいもあるが、左右とも指使いが普通とはだいぶ違う。そしてヴォリューム・ペダルの活用、コーラスのエフェクト、独特のアーミングも特徴的だった。先週、武道館で見たディープ・パープルがおじいちゃんだけど頑張ってシャウトし(開始も早く、時間が正確)、微笑ましくも感じたのに対し、ピタッと決めるプログレは老いても現役感があまり損なわれない。それにしても、なんばHatchの前に浮庭橋という名前のとおり! の土木構築物があって驚く。
写真:浮庭橋
2016/05/23(月)(五十嵐太郎)
《枚方 T-SITE》
[大阪府]
大阪へ移動し、《枚方 T-SITE》を見学する。駅前の巨大なガラス建築は、宙に張り出した吹抜けデッキのヴォリュームが目立つ。ツタヤにスタバもあって、現代における鉄板のプログラムだろう。卒計とかに出てきそうというか、これに似たものが今後多く出そう。竹中工務店によるソツがない商業施設である。次に枚方駅近くの関西医科大と病院も見たが、これは町のスケール感と断絶するような巨大建築だった。
写真:上から2つ《枚方T─SITE5》、関西医科大
2016/05/23(月)(五十嵐太郎)