artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
「ルネサンスの巨匠 ミケランジェロ」展
会期:2016/04/23~2016/06/12
山梨県立美術館[山梨県]
山梨県立美術館の「ルネサンスの巨匠 ミケランジェロ」展のオープニングに出席する。日本語のタイトルでは外されているが、英語のタイトルには「architecture」と入っているように、天才の建築家の側面にも焦点を当てた企画である。会場では、ミケランジェロのオリジナルのスケッチや関連ドローイングも多数展示されており、ヨーロッパではこういう企画を見ることはできるが、日本ではこれまでも、そしてこれからもなかなか遭遇できない貴重な内容だろう。今回、東北大の五十嵐研の本間脩平が担当し、ラウレンツィアーナ図書館の全体模型を1/100スケールで制作した。また圧巻は野口直人が横浜国立大学のCNCルーターを駆使して実現した、図書館の玄関室の1/20模型である。複雑な古典主義のディテールも見事に再現されている。彼によると、既存の図書館図面がどれもバラバラで、多くの写真を手がかりに模型を制作した過程が興味深い。それは歴史家ではなく、建築家ならではの視点でミケランジェロの形態を読みとく作業でもある。
写真:上から、オープニングの様子、《ラウレンツィアーナ図書館》の全体模型、玄関室の模型
2016/04/22(金)(五十嵐太郎)
山梨県笛吹川フルーツ公園/《竜王駅》
[山梨県]
山梨県笛吹川フルーツ公園にて、長谷川逸子が設計した建物群を見学する。遠目に見える果物をかたどったようなシルエットはかわいらしくて面白いのだが、近づいても特別な空間の体験が少なかったのは残念だった。続いて安藤忠雄による竜王駅を訪問する。駅の規模のわりには両サイドの幾何学的な大屋根と大階段によって、場所のアイデンティティを与えていた。
写真:上4枚=《山梨県笛吹川フルーツ公園》 下4枚=《竜王駅》
2016/04/22(金)(五十嵐太郎)
足柄サービスエリア
[静岡県]
甲府へ。途中の足柄のサービスエリアがエヴァンゲリオンに埋め尽くされ、すごいことになっていた。初号機の大型立像、レイやカヲルの等身大の人形、エヴァのカラーに塗られたプリウス、ロンギヌスの槍の展示のほか、エヴァ風のサービス・インフォメーション、グッズ販売、飲食店の特別メニューなど、アニメ世界が現実を侵食している。
2016/04/22(金)(五十嵐太郎)
ザ・ワイナリー・ドッグス
会期:2016/04/21
昭和女子大学 人見記念講堂[東京都]
リッチー・コッツェンの指弾きによるギター、ビリー・シーンのベースとは思えない早弾き奏法も当然すごいが、客席にまで入り込んで、リズムを叩き続けるマイク・ポートノイのドラムが笑えた。海外のハードロックのライブが重なる時期だけに、僕たちを見にきてくれてありがとう! とも挨拶していた。
2016/04/21(木)(五十嵐太郎)
《toyama キラリ》
[富山県]
竣工:2015年
富山において隈研吾が設計した《キラリ》を見学する。玄関の手前には、「キラリ」の文字をかたどったベンチがあってのけぞる。明確な境界がない図書館と、複数のフロアにまたがるガラス美術館が、エスカレーターに沿って斜めに展開するダイナミックな吹抜けを挟む。東京では考えられない、すべてを決まった用途で使い切らないゆったりとした空間が印象的だった。訪れる前は、なんというキラキラネームの公共施設(銀行も含むが)だと思っていたが、内部を体感して、キラリという名称は結構合っていると思った。
2016/04/21(木)(五十嵐太郎)