artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
RooTS Vol.03 寺山修司生誕80年記念「書を捨てよ町へ出よう」
会期:2015/12/05~2016/12/27
東京芸術劇場シアターイースト[東京都]
藤田貴大・演出『書を捨てよ 町へ出よう』@東京芸術劇場。ライブで解体と再構築を続け、次々と空間が変容していく舞台装置、実験的な映像や生ドラムによる演奏の挿入、ファッションショーのようなセンスのある衣装、メタと解釈、存在感ある俳優など、めまぐるしい勢いで進行する。ただし、あまりに内容を断片化しており、もとの寺山修司の映画を知らないと、物語としてはついていけないかもしれない。
2015/12/11(金)(五十嵐太郎)
シェル美術賞展2015
会期:2015/12/09~2016/12/21
国立新美術館 1階展示室1B[東京都]
若手作家の絵画を顕彰するシリーズである。今年はグランプリはなく、多彩な素材を重層する細密の石井奏子《雪の研究》と矢島史織《モンスター》が準グランプリだった。また静岡CCCの公募企画のときに選んだスケール不在の風景を描く伏見恵理子が、アーティスト・セレクション枠で展示していた。
写真:上=伏見恵理子、下=石井奏子《雪の研究》
2015/12/11(金)(五十嵐太郎)
ニキ・ド・サンファル展
会期:2015/09/18~2016/12/14
国立新美術館[東京都]
ニキは、家庭の母であることをやめて、絵具入りの缶やオブジェに向かって、銃を放つ射撃絵画でデビューした後、フェミニズム的な視点から読み解ける作品や、大がかりな彫刻庭園を展開した。また日本との交流も紹介している。いわゆる美や洗練に向かうのではない、アウトサイダー的なパワーだが、彼女が感銘を受けたガウディの影響が晩年まで続く。1960年代には北欧で開催した個展において、内部に入れる巨大女性型のインスタレーションも発表している。
2015/12/11(金)(五十嵐太郎)
ゴドーを待ちながら
会期:2015/12/10~2016/12/14
シアターΧ[東京都]
勅使川原三郎/佐東利穂子「ゴドーを待ちながら」@シアターカイ。勅使川原の軽妙なしゃべりの録音を流しながら、本人が身体を動かす。ベケットの原作どおり、人参の話などもあるのだが、勅使川原の語りはまるで寄席のよう。そして背を向けて立つ佐東。動かない、動かない。が、たえず動く勅使川原とは対照的に不動の存在感を示し続ける。
2015/12/10(木)(五十嵐太郎)
WINDOWS IN FILMS 2015年度窓学「窓の映画学」
2007年から東北大学五十嵐研では、窓学を継続しているが、今年は窓の映画学を調査した。博士課程の菊地尊也が中心となって、洋画はヒッチコックと007シリーズ、邦画は家族映画を軸に作品を選び、窓がいかに表象されているかを網羅的に分析した。またプレゼンテーション用に研究室OBの三浦和徳監督の編集により、膨大な窓のシーンをつないだ約10分のフッテージ・フィルムの作品「WINDOWS IN FILMS」を作成した。
2015/12/10(木)(五十嵐太郎)