artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
駅弁むかし物語
会期:2015/12/08~2016/03/21
旧新橋停車場 鉄道歴史展示室[東京都]
明治期の土瓶や陶製容器から、僕の世代だと懐かしいポリ茶瓶までを紹介する。以前にここで鑑賞した野球場と鉄道の企画展も印象的だったが、今回もユニークな内容だった。
2015/12/18(金)(五十嵐太郎)
ゴーギャンとポン=タヴァンの画家たち展
会期:2015/10/29~2016/12/20
ゴーギャンがしばし滞在していたブルターニュの小さな村での生活と、そこで集った画家のコミュニティと作品群を紹介する。フランスの近代絵画が革命的に変化していた時代ゆえに、印象派から統合主義、ナビ派、象徴主義への展開をたどる。
2015/12/18(金)(五十嵐太郎)
新国立競技場コンペ案
[東京都]
新国立競技場のコンペ案が発表されたことで、多くのメディアからコメントを依頼された。同日としては、個人的に過去最高数の記録となったが、それだけ国民の関心が集まっているのだろう。ただし、6月から7月にかけて、ザハ・ハディド案を擁護したかったときは、なぜか全然声をかけられなかった。そもそもザハ外しは論理的に説明がつかず、おかしかったこと、本来はコンペだから、彼らの修正案=C案に加え、D案、E案……があるべきだったことを指摘したうえで、二案について感想を述べた。拘束具がついた厳しい状態ながら、各建築家の個性をよく出し、想像以上に健闘していたと思う。が、やはり時代を先に進めるような革新的なものは難しかった。仕切り直しコンペの要項において、日本らしさや木の使用が要請されたせいもあるが、弥生=隈研吾/縄文=伊東豊雄の反復のようにも見える。ただし、今回、日本的なものをめぐる建築の言説は盛り上がってない。
2015/12/14(月)(五十嵐太郎)
建築系ラジオ編「建築系で生きよう。」出版記念トークイベント&パーティー
会期:2015/12/13
loftwork COOOP[東京都]
数年かかって、ようやく刊行された本の出版記念を行なう。これで音声で配信してきた建築系ラジオの活動も活字として記録されることになった。質疑応答のとき、どんな本を読んだらいいですか、という学生の鉄板の質問を受ける。個人的には、効率性で読むよりも、最初はむやみに読まないと、結局は各自に合った本はわからないと思う。おそらく、その学生もどんな音楽を聴いたらいいですか、とあまり人に尋ねないように。
2015/12/13(日)(五十嵐太郎)
パーセル作曲 オペラ「妖精の女王」
北とぴあ さくらホール[東京都]
会期:2015/12/11、12/13
歌によって物語が推進していく普通のオペラと違い、演劇と楽曲が交互に出現する形式なので新鮮である。しかも観念的な内容の歌詞のとき、物語の進行は止まってしまう。宮城聰の演出だが、シェイクスピアの同じ原作をもとにした演劇、F/T『真夏の夜の夢』において彼が見せた演出と俳優の顔ぶれは、おおむね同じだった。そこに今度はパーセルの古楽を挿入しつつ、指揮者や演奏者ともメタ的に絡む。ただし、目玉のエマ・カークビーの出番は思っていたよりも少ない。
2015/12/13(日)(五十嵐太郎)