artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
KING CRIMSON THE ELEMENTS OF KING CRIMSON TOUR in JAPAN 2015
会期:2015/12/07~12/10、12/16~12/17
Bunkamuraオーチャードホール[東京都]
フロントにドラム三人を配するという見たことがないセッティングだったが、それぞれ演奏のキャラが違い、音もクリアで、ドラマチックな立体感を生み出す。名曲の数々はいま聞いても前衛だ。ある意味で、時代を超えたプログレッシブな楽曲ゆえに、古さを微塵も感じさせない。とすれば、ロックは1960年代に産声を上げると同時に、いきなり終わりが示されていたのだろうか。彼らの年齢を考えると、これでキング・クリムゾンはもう聴けないかもしれない。今年の終わりはホワイトスネイクによるディープ・パープルの楽曲演奏、大御所のオジー・オズボーンが登場したオズフェス、ラウドパークのスレイヤーやメガデス、デフ・レパード、レッド・ドラゴン・カーテルによる「月に吠える」などがあって、往年のロックが目白押しだった。
2015/12/09(水)(五十嵐太郎)
ルートヴィヒ・コレクション ピカソ展
会期:2015/10/31~2016/12/23
宮城県美術館[宮城県]
ピカソのさまざまな時代を網羅していたが、内容としては、絵画以外の陶芸の作品や原版の展示が目新しい。また、さまざまな写真家が撮影したピカソのポートレイト群が特徴だろう。多様な切り口が可能な多作ぶりだが、飽きることなく、生涯多作を維持できることはひとつの才能だろう。常設展示のほうは、日本画、荒川修作の巨大作品、ココシュカやエゴン・シーレの小作品など。
2015/12/08(火)(五十嵐太郎)
仙台市地下鉄東西線
[宮城県]
仙台で新しく開通した東西線に初めて乗る。車両はやや小さめで、外国の電車を思い出す。川内から青葉山への急勾配をどう処理するのかと思ったら、大江戸線も顔負けの、えらい地下奥深くにホームを設置していた。ただし、青葉山駅のエスカレーターは、追い越しができない狭い幅である。一方で時間が不確定なバスは大幅に減らされたが、地下鉄によって通勤は格段に楽になった。また仙台駅の東側にある卸町などへのアクセスも簡単になった。今後、二番目の地下鉄の運行によって、仙台の都市の構図も大きく変わるだろう。
2015/12/08(火)(五十嵐太郎)
KAFS03『多拠点性・多領域性』
会期:2015/12/06
カマタ_ブリッヂ[東京都]
KAFS03『多拠点性・多領域性』のプログラムで、ミニレクチャーを行ない、その後、今後の展開を考えるワークショップに参加する。道路に面した一階が会場であり、ブルーシートと同様、屋外の寒さを感じながらの開放的な空間だった。リノベーションした物件を建築家らのシェア・オフィスとしつつ、ファブラボ的な機能をもたせ、蒲田の町工場との連携も計る。フューチャー・セッションでは、「宣言」の三か条を担当し、とりあえず以下の項目をまとめる。(1)街の異物であり続けること(おしゃれでもなく、ヘンに溶け込まない)、(2)街を着火し、世界を炎上させよ(廃材を銭湯に譲ったり、創作や町工場の潜在力を外に発信する)、(3)でも、迷惑をかけないこと。
2015/12/07(月)(五十嵐太郎)
フェスティバル/トーキョー15 飴屋法水「ブルーシート」
会期:2015/11/14~11/15、12/04~12/06
豊島区 旧第十中学校グラウンド[東京都]
福島にいた役者たちが、震災で校舎が使えなくなり、しばらく間借りで過ごしたあと、仮設の教室暮らしをしたことは、東北大学で筆者が経験したこととまったく同じプロセスだと思い出しつつ、屋外の寒さを抱きしめる。空間としては、運動場を使うために、向こうの道路まで見える、異様な奥行きをもった舞台であり、横長の舞台と観客席が特徴だった。空に消えていくシャボン玉、ラストの椅子取りから逃げろの連呼までのむき出し若い身体のパワーが炸裂する作品だった。
2015/12/07(月)(五十嵐太郎)