artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
公共建築から考えるアーバンデザインの実験「大宮東口プロジェクト2015」
会期:2015/10/30~2015/11/06
渋谷ヒカリエ8/COURT[東京都]
東洋大学「大宮東口プロジェクト2015」@ヒカリエ。異なる設定の容積率、学校のあり/なしの変化要素を絡ませて、藤村龍至のおなじみの手法により、複数のチームの学生がスタディのプログラムを走らせる。展示では、やはり一連の過程の模型を時系列に置く。おそらく、これ自体が設計手法と展示の見せ方の発明であり、今後、幾らでもバリエーションを増やせるだろう。
2015/11/04(水)(五十嵐太郎)
GOOD DESIGN EXHIBITION 2015[2015年度グッドデザイン賞受賞展]
会期:2015/10/30~2015/11/04
東京ミッドタウン[東京都]
審査員の立場から、グッドデザイン賞の展示と大賞選出の投票会場に足を運ぶ。ここの展示も、東京ミッドタウンの複数の場所に散らばり、全体像がわかりにくい。今年のファイナルとなる大賞候補の8点には、義手、車いす、道の駅が2つ入っており、時代性を感じさせる。建築ユニットからは、三浦丈典のFARMUS木島平が残ったが、大賞には選ばれなかった。ジャンル以外からの票も必要であり、改めてグッドデザインの大賞をとることの難しさを痛感する。なお、今年のグッドデザイン賞で、筆者はフォーカス・イシューのディレクターを務め、「防災・減災・震災復興」を担当し、「災害を通じて真価が試されるデザイン」のテキストを執筆した。
2015/11/04(水)(五十嵐太郎)
アジアの日常から:変容する世界での可能性を求めて
会期:2015/10/17~2015/12/12
TOTOギャラリー・間[東京都]
気がつくと、もう建築専門ギャラリーの30周年記念であり、今回はアジアをテーマとしている。ただ、3階の展示は作品は面白いが、ちょっとわかりにくい構成と見せ方だった。一方、庭に設置されたヴォ・チョン・ギアによる竹の構築は、1/1の空間を出現させている。そして4階の大西麻貴+百田有希の巨大模型による経験の空間のスタディ、チャトポン・チュエンルディーモルの模型群を収納するデザイン屋台は、明快にメッセージを伝えており、気持ちいい。
写真:左上=チャオ・ヤン、左下=ヴォ・チョン・ギア、右上=大西麻貴+百田有希、右下=チャトポン・チュエンルディーモル
2015/11/04(水)(五十嵐太郎)
SPAC「真夏の夜の夢」
会期:2015/10/31~2015/11/03
にしすがも創造舎[東京都]
シェイクスピアの原作を野田秀樹が潤色したものを、さらに宮城聰が演出した。異なる時代とクリエイターが層をなし、過剰な台詞と飲み込む言葉に彩られたパワフルな作品に仕上がっている。録音された音ではなく、舞台の奥で生の音楽をずっと演奏していることも、作品の迫力を増す。またアフタトークにおける宮城の説明が、とてもうまいのに関心させられる。
2015/11/03(火)(五十嵐太郎)
中村拓志/NAP建築設計事務所《狭山の森 礼拝堂》
[埼玉県]
竣工:2013年
霊園に入り、さらに奥に歩くと、やはり中村による《狭山の森 礼拝堂》が見える。垂直に起立する細い三角形の開口とアルミ鋳物で覆われた曲面屋根、そしてあいだの樹木が印象的だ。内部に入ると、一転して分厚い集成材の空間が広がり、曲面の壁に沿って、ひだ状の懐に包まれる。全体としては、ゴシック的であると同時に、日本の宗教建築も想起させるだろう。
2015/11/03(火)(五十嵐太郎)