artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
BankARTスクール横浜建築家列伝vol.2 五十嵐太郎+磯達雄 ゲスト林要次「中村順平について」
会期:2015/09/28
BankART Studio NYK[神奈川県]
磯達雄と共に講師を担当している今期のBankARTスクールでは、横浜建築家列伝をテーマとしており、林要次をゲストに迎え、横浜国立大学の前身となる学校で教鞭をとった中村順平のレクチャーが行なわれた。彼は曽禰中條の事務所で働いた後、ボザールに留学するが、関東大震災を聞いて、復興に寄与すべく、急いで帰国して教育者となる道を選んだ。中村がモダニズムが掲載された外国の雑誌を学生にあまり見せなかったエピソードが興味深い。林は博士論文において、中村のメモから当時フランスで読んだであろう書籍を割り出したという。当時の建築界の状況を知るうえで、貴重な労作である。
2015/09/28(月)(五十嵐太郎)
ツォー駅周辺
[ドイツ、ベルリン]
最後はツォー駅周辺のエリアで現代建築を中心にまわる。グリムショウ、ヤーン、ゴットフリート・ベームの作品もあるけど、比べると、旧東サイドの開発の方がインパクトは大きい。ところで、昔は外国でアジアの観光客を見かけると、ほぼ日本人だったが、だんだん韓国人が増え、いまや完全に中国人がメインになった。内向きになった日本人はもうあまり海外に出かけないのだろうか。
写真:上=グリムショウ、中=ヘルムート・ヤーン、下=ベーム
2015/09/26(土)(五十嵐太郎)
インターバウ(1957)
[ドイツ、ベルリン]
最終日はティアガルテンにあるインターバウを25年ぶりに散策した。1957年、グロピウス、アアルト、ヤコブセン、ニーマイヤーらの集合住宅が出現し、最初は博覧会のように見せて、東ドイツ側に未来の生活を誇示した。ドキュメント映画「未来ハウジングの今」(2007)でも描かれていたが、それらをちゃんと現在も活用していることに感心させられる。入口のインフォメーションのパヴィリオンも、バーガーキングとして使われていたが、オリジナルのデザインを尊重し、インテリアにおかしな改変がない。
写真:左上=グロピウス、左中=アアルト、左下=ヤコブセン、右上=ニーマイヤー、右下=パヴィリオン
2015/09/26(土)(五十嵐太郎)
カール・フリードリヒ・シンケルによる《コンツェルト・ハウス》《フリードリヒ・ヴェルダー教会》
[ドイツ、ベルリン]
ウンター・デン・リンデンへ。カール・フリードリヒ・シンケルによる《コンツェルト・ハウス》と《フリードリヒ・ヴェルダー教会》を見る。これらも学生のとき以来だ。前者は古典主義、後者はゴシック様式で、同じ建築家がデザインを使い分ける。近くにはヌーヴェル、ウンガースなどの建築家による商業施設が並び、この一帯も旧東ドイツ側だった。やはり、統一後は東に現代建築が増えている。
写真:左上=《コンツェルト・ハウス》、左下=《フリードリヒ・ヴェルダー教会》、右上=ウンガース、右下=ヌーヴェル
2015/09/25(金)(五十嵐太郎)
ベルリン楽器博物館
[ドイツ、ベルリン]
フィルハーモニー隣りの楽器博物館へ。これも室内楽ホールと同様、シャロウンのスタイルだが、彼の設計ではない。普段は隠されている楽器の内部も見えるような展示が多く、楽器は器械の一種なのだと再認識させる。また、通常見かけない特殊な楽器もいろいろあって、進化の過程で登場した傍流の深海魚や変わった昆虫に遭遇するような面白さがある。
2015/09/25(金)(五十嵐太郎)