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五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

KERA・MAP #006「グッドバイ」(横浜公演)

会期:2015/10/17~2015/10/18

KAAT神奈川芸術劇場[神奈川県]

太宰治が執筆した、女性問題で振り回される未完の小説を、古典的な大団円を迎えるラブコメに帰着させ、随所に笑いを散りばめている。左右からスライドして出し入れする舞台装置の転換、奥の階段の使い方も興味深い。永井キヌ子役の小池栄子がなかなかの怪演だった。

2015/10/18(日)(五十嵐太郎)

ヴェネツィア展──魅惑の都市の500年

会期:2015/09/19~2016/02/21

名古屋ボストン美術館[愛知県]

長年にわたって美術に愛された水の都市とアートの関係をたどる。もちろん、宣伝で謳われているように、ティツィアーノ、カナレット、モネ、ブーダンらの作品をアメリカからもってきたのがウリだが、フォルトゥーニによるプリーツのファッション、小さな都市においてプライバシーを守るためのマスク、20cmありそうな高底靴、ムラーノ・ガラスのデザインにおける近代革命など、生活と風俗の展示も楽しめる。

2015/10/18(日)(五十嵐太郎)

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コレクション企画「線の美学」

会期:2015/10/16~2015/12/13

愛知県美術館[愛知県]

愛知県美のコレクション展「線の美学」を見る。日本画の「蜘蛛」から堀浩哉「水の肌へ」やアグネス・マーティンの現代美術まで、線をめぐるさまざまなテーマを設定し、古今東西の作品を紹介する。美術館のコレクションの力を伝える企画だ。以前、某美術館で開催されていた、結局、何でもありになってしまう光と影を切り口に、収蔵品を再構成した企画より、線のテーマは明快で好感がもてる。

2015/10/17(土)(五十嵐太郎)

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Under 35 Architects exhibition 2015──35歳以下の若手建築家による建築の展覧会

会期:2015/10/16~2015/10/31

グランフロント大阪[大阪府]

毎年恒例U-35の展覧会。シンポジウムで建築史家の倉方俊輔とダブル司会を務めたように、司会は2人だし、出品者よりゲスト建築家が多い、やたら豪華な企画である。今年は若手6組の展示手法が、それぞれ個性的であり、うまかった一方で、建築作品そのものの紹介が少なかった。そのせいか、今年から最優秀を決める予定だったが、最後は審査委員長の藤本壮介がゴールドメダルはナシと判断した。一昨年、石川県のでか山のプロジェクトで卒業設計日本一だった岡田翔太郎が参加しており、圧倒的な最年少である。

写真:左上=岡田翔太郎、左中=金田泰裕、左下=植村遥、右上=高濱史子、右中=佐藤研也、右下=北村直也

2015/10/16(金)(五十嵐太郎)

LOUD PARK 15

会期:2015/10/10~2015/10/11

さいたまスーパーアリーナ[埼玉県]

ラウドパーク参戦。通常は耳と頭で聴くギター中心主義史観だが、初日は足下から響き、胸に到達し、バンドを牽引するドラムが印象に残った。初来日のGOJIRAと帝王SLAYERである。前者は異常に持続するマシンガン・ツーバス、後者は安定した早回しの時計のように高速のリズムを刻み続ける。2日目は、2つの共演が序盤に華を添えた。浜田麻里×高崎晃のギターは、ウルトラ・ハイトーンボイスに久しぶりの再会で懐かしい、という感想ではなく、いやいや彼女は昔よりカッコよくなっているのではないかと感心した。もうひとつが、KAMELOT×デス声ではない声でも歌う白衣のアリッサ嬢(アーチ・エナミー)である。HELLOWEENとGAMMA RAYは、想像以上にヨレヨレで、カイ・ハンセンの2日目サプライズ参加もなかったが、前者に名曲メドレーをやられると、さすがに盛り上がる。結局、2日連続で「I want out」を聴くことになった。一方、大トリのメガデスは正確無比のメタル・マシーンが演奏するかのような貫禄である。今回、デビュー時のレビューがすごくて名前を覚えた、ナパーム・デスのライブを初めて見る。これは前衛芸術だ。しかも、笑える。痙攣のような律動に多くの観客はノリ方がわからず、リフやコード進行が認識できないし、そもそも1分くらいの曲ばかりで反復する構成も少ない。常識的な曲の体裁をなしていないが、圧倒的な強度をもつ。個人的な趣味で言えば、ツインギター+keyの様式美を追求するドラゴンフォースとか、3ピースのカッコよさを見せつけるDIZZY MIZZ LIZZYとか、80年代懐メロの企画バンドは楽しい。が、音楽とは何か? の問いにはならない。そうした意味において、ナパームデスの音楽は、現代芸術的かもしれない。

2015/10/10(土)、2015/10/11(日)(五十嵐太郎)