artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

おいしいおかしいおしばい「わかったさんのクッキー」

会期:2015/07/23~2015/08/02

KAAT 神奈川芸術劇場[神奈川県]

岡田利規×金氏徹平「わかったさんのクッキー」@KAAT。夏休みのキッズ・プログラムなので、1時間くらいのコンパクトな内容だった。前半がクリーニングの配達、後半がロッククッキーづくりとなる。物語後半の展開はえらく遅くなるが、金氏の作風と通じる、多くのモノを組み合わせたにぎやかな舞台美術が、街であり、食べ物であり、さまざまに読み替え可能な別のモノに変化していく関係性が興味深い。

2015/08/01(土)(五十嵐太郎)

呉市立美術館

[広島県]

隣の呉市立美術館へ。外観はメルヘンチックである。文化勲章受章者を中心としたコレクション展は、やっつけぽい。デッサンを楽しむ企画はまあまあである。が、ここもほかに人がない。戦艦大和は好きでも、歴史建築や美術は人気がないということか。

2015/07/27(月)(五十嵐太郎)

《入船山記念館(旧呉鎮守府司令長官官舎)》

[広島県]

竣工:1905年

《入船山記念館》へ。明治末に桜井小太郎が設計したハーフティンバーの洋館と和館から構成される旧呉鎮守府司令長官官舎のほか、大正時代の《旧呉海軍工廠塔時計》《旧高烏砲台火薬庫》《旧東郷家住宅離れ》、新築された郷土館と歴史民俗資料館がある。ここにも呉の歴史はたしかに刻まれているが、あれだけ大和ミュージアムに人が集まっていたのに、誰も来場者がいない。

写真:左上=《旧呉鎮守府司令長官官舎》外観、左下=《旧呉鎮守府司令長官官舎》内観、右上=《旧呉海軍工廠塔時計》、右下=《旧高烏砲台火薬庫》

2015/07/27(月)(五十嵐太郎)

《海上自衛隊呉地方総監部第一庁舎(旧呉鎮守府庁舎)》

[広島県]

竣工:1907年

公開日ではないため、遠目に明治末につくられた丸いドームをもつ、海上自衛隊呉地方総監部を見ながら、坂を上る。歴史の見える丘からは、《噫戦艦大和之塔》があり、海を眺めると、大和を建造したドック跡、工場や造船施設などが視界に入る。

写真:上=《海上自衛隊呉地方総監部第一庁舎》、下=ドッグ跡

2015/07/27(月)(五十嵐太郎)

海上自衛隊呉史料館(てつのくじら館)

[広島県]

続いて、向かいのてつのくじら館へ。かわいい名前だが、海自の広報を兼ねた展示施設なので入場無料である。展示手法は、ややぶっきらぼう。安保で話題の機雷掃海に関する仕組みの展示が面白い。実際に使ったフロートにかわいいキャラ顔を描いているのが興味深い。また展示のハイライトは、館の手前に置かれた本物の潜水艦の内部を体験できること。たしかに、水面下を移動する究極の建築である。ちなみに、ゆめタウン、実物潜水艦、大和ミュージアム、メルヘン建築の休憩所、海の本物の船が並ぶ、脈絡がない呉の風景は、まさに日本的だ。

2015/07/27(月)(五十嵐太郎)