artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
呉市海事歴史科学館(大和ミュージアム)
《世界平和記念聖堂》
[広島県]
竣工:1954年
久しぶりに村野藤吾の《世界平和記念聖堂》へ。戦後最初の話題のコンペをやったものの、結局、審査員長の村野藤吾が設計してしまったもので、その経緯は問題あるが、完成したものはいい。60年を過ぎて、さらに凄みを増す建築だ。世界各地で見学した近代以降の教会と比べても、決して遜色がない。あえて難を言えば、祭壇の壁画が微妙かもしれない。
2015/07/27(月)(五十嵐太郎)
コレクション展 2015-II「われらの狂気を生き延びる道を教えよ」
会期:2015/07/25~2015/10/18
広島市現代美術館[広島県]
広島現美の常設コレクションでは、「われらの狂気を生き延びる道を教えよ」展を開催していた。展示されたアルフレッド・ジャーの作品名からとったタイトルだが、さらにもとをたどれば、大江健三郎の書名に基づく。さまざまな角度から広島/核/原爆と、現代美術の関係を検証する。若林奮の巨大彫刻《DOME》がなかなかの迫力だ。またイヴ・クラインの人拓は、原爆による人影の痕跡の影響を受けたらしい。
2015/07/26(日)(五十嵐太郎)
《原爆─ひろしまの図》公開修復
会期:2015/07/18~2015/09/27
広島市現代美術館[広島県]
戦後70年ということで、広島現美のミュージアムスタジオでは、《原爆─ひろしまの図》公開修復を行ない、床置きされた大きな絵を台の上から眺める仕かけもあった。丸木位里・俊夫妻が描いたシリーズであり、剥落などの傷みが進んだことから、普段は可視化されない美術館の保存事業を見せる企画だった。
2015/07/26(日)(五十嵐太郎)
[被爆70周年:ヒロシマを見つめる三部作 第1部]ライフ=ワーク
会期:2015/07/18~2015/09/27
広島市現代美術館[広島県]
ヒロシマ賞の審査で、広島市現代美術館へ。終了後、三部作となる展覧会の第一部「ライフ=ワーク」を見る。被爆者たちが74年頃から描き始めた当時の記憶の絵から始まり(これらは平和記念資料館の所蔵で、ある意味アーティストの作品よりも強烈で生々しい)、作家たちのシベリア抑留や原爆をテーマにした重い作品群が続く。
2015/07/26(日)(五十嵐太郎)