artscapeレビュー
進撃の巨人 ATTACK ON TITAN 前編
2015年09月15日号
実写版の『進撃の巨人』を見る。登場人物や舞台など、話題になった諸々の設定変更は、そもそも原作の物語構造がほかの状況でも通じる神話的な普遍性をもっているし、日本で実写の映画を制作するなら、これでもよかったと思う。中世ヨーロッパ風の街並みにこだわっていたら、むしろ悲惨な結果を招いたかもしれない。冒頭20分くらいまでのたたみかける特撮や、軍艦島を活用したシーンも悪くない。が、肝心の立体機動シーン、そして人物の造形、会話、行動はあまり感心しなかった。原作と違うからではなく、人間が描けていないからである。
2015/08/01(土)(五十嵐太郎)