artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

JIA東北住宅大賞2014 第2次審査《家カフェBio/遊佐の家》

会期:2015/03/09~2015/03/11

[山形県]

今年もJIA東北住宅大賞の審査が始まる。鳥海山の麓にて、渋谷達郎が設計した《家カフェBio/遊佐》の家を訪れる。企業の研修施設を住まい兼自然食のカフェにリノベーションしたもの。家型の外観は変えず、ワンルームだった1階を個室群に、寝室群だった2階を山と海を望むカフェに変更している。強風や眺めなどの環境が家に反映する。

2015/03/09(月)(五十嵐太郎)

第7回恵比寿映像祭『エリオ・オイチシーカ──マージナルな英雄』

会期:2015/02/27~2015/03/08

日仏会館ホール・ギャラリー[東京都]

上映プログラムでは、セザール・オイチシーカ・フィーリョの『エリオ・オイチシーカ──マージナルな英雄』を見る。トロピカリズモ運動に連なるアーティストのドキュメンタリーだが、いわゆる丁寧な説明というより映像モンタージュ的な作品だった。ブラジルにとって歴史的な現代美術家、オイチシーカによる着衣するアートのパランゴレや空間インスタレーションの動きの様子を見ることができたのが、収穫である。

2015/03/08(日)(五十嵐太郎)

第7回恵比寿映像祭『極地征服』『ワールドフェア』『ストーリーテラー』

会期:2015/02/27~2015/03/08

ザ・ガーデンホール[東京都]

スクリーニング上映の「懐かしい未来」では、メリエスの『極地征服』(1912)と万博アニメのフライシャー『ワールドフェア』(1938)が面白い。わざわざ100年前の作品をいま見るだけあって、いずれもCGや特撮に見慣れたわれわれにとっても十分な強さがある。逆にいまある作品で一世紀後に見るのは一体何になるだろうか。ニコラ・プロヴォストの『ストーリーテラー』は、あいちトリエンナーレ2013とは違うタイプの作品で、ラスベガスの夜景を鏡面のように二重化するシンプルな加工を加えただけで、異世界の感覚を生み出す。自然がない、究極の人工的な景観だけでつくられた都市だからこそ可能な万華鏡のような効果である。

2015/03/08(日)(五十嵐太郎)

第7回恵比寿映像祭《最初にカケスがやってくる》

会期:2015/02/27~2015/03/08

ザ・ガーデンホール、日仏会館ホール・ギャラリー[東京都]

第7回恵比寿映像祭へ。日仏会館ホールでは、ホンマタカシのTRAILSシリーズの、映像インスタレーション《最初にカケスがやってくる》を見ていると、突発的にコンタクトゴンゾの激しい武闘的なパフォーマンスが重なり合う。クララ・イアンニは、ブラジリアの細部イメージと事件の映像作品である。オフサイト展示で、瀬田なつきによる黄金町や恵比寿の短編映像をめぐりながら、ザ・ガーデンホールへと移動する。3階はスズキユウリ、アルトハメル、ダンカン・キャンベル、山口典子、堀尾寛太、佐々木友輔、久野ギルらの展示である。そして4階は、中谷芙二子、かわなかのぶひろら、ビデオひろばのメンバーによる歴史的な作品を紹介していた。

写真:オフサイト展示

2015/03/08(日)(五十嵐太郎)

PARASOPHIA:京都国際現代芸術祭2015 コラテラル企画

会期:2015/03/07~2015/05/10

元崇仁小学校、京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA会場、ホテルアンテルーム京都、gallery ARTISLONG[京都府]

京都国際現代芸術祭2015のコラテラル企画を幾つかまわる。京都市芸のstill moving、ウルトラ@アンテルーム、ギャラリーアーティスロングの吉田重信展、横山裕一@マンガミュージアムなど。この充実度が京都らしい。札幌、横浜だと、これだけ揃えられないし、またあいちトリエンナーレだと、本体事業がデカ過ぎて目立たない。将来、京都市芸が移るという元・崇仁小学校は、各教室で、ゼミや作家の作品を展示している。建築的なものでは、井上明彦+二瓶晃のインスタレーションやRADの中村裕太らとプロジェクトを展開するという。そして前々から行こうと思って、ようやく訪れたアンテルームは、1階の入口から奥まで全域にわたって、京都造形のウルトラ・ファクトリーによる展示である。名和晃平、ヤノベケンジ、やなぎみわ、石橋義正、黄海寧、森彩華、菊池のえる、橋本敦史など。それにしても、アンテの空間がカッコいい。外国のおしゃれなホテルのようだ。地下鉄で移動し、京都市芸ギャラリー@KCUAへ。各駅の構内でも、京都の美大、芸大が展示している。KCUAの1階は、青木陵子、伊藤存、伊東宣明、金氏徹平ら。京都を拠点とする作家の層の厚さを感じさせる。2階は、学長の退任記念展「POETRY / ART」を開催しており、詩人でもある建畠晢が作品も制作していた。

写真:左上から、元・崇仁小学校2枚、アンテルーム、ウルトラ@アンテルーム 右上から、京都市芸ギャラリー@KCUA、POETRY / ART69、ギャラリーアーティスロングの吉田重信展

2015/03/07(土)(五十嵐太郎)

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