artscapeレビュー
五十嵐太郎のレビュー/プレビュー
日清・日露戦争とメディア
会期:2014/10/04~2014/11/24
川崎市市民ミュージアム 企画展示室1[神奈川県]
「日清・日露戦争とメディア」展は、いかに視覚的に明治期の戦争が報道されたのかをたどるものだ。写真が本格的に活用される前であることから、まだ錦絵や漫画が戦意高揚に大きな影響を与えており、当然、それに画家たちも関わり、出版社は売れるコンテンツとして積極的に刊行していた。100年以上前の出来事だが、これからの日本と重ならないことを願う。
2014/10/13(月)(五十嵐太郎)
いろいろ、そうそう─田中岑展
会期:2014/09/06~2014/11/03
川崎市市民ミュージアム 企画展示室2[神奈川県]
田中岑は川崎にアトリエをかまえていた画家。1970年代に胃潰瘍で入院してから室内画を描くようになり、それらの窓の表現が興味深い。オレンジの空間にぽっかりと開いた長方形の青。1990年代の扉シリーズも同様。黄色い光のなかに浮かぶ、台形の赤い扉。
2014/10/13(月)(五十嵐太郎)
「BRA-BA!2014」かわさきアートフェスティバル シンポジウム「建築レジェンドへの挑戦」
会期:2014/10/13
川崎市市民ミュージアム 映像ホール[神奈川県]
久しぶりに菊竹清訓が設計した川崎市市民ミュージアムへ。五十嵐×西澤徹夫×山中新太郎「建築レジェンドへの挑戦」のトークが開催された。まず五十嵐が美術館の歴史と現状をレビューした後、西澤と山中によって、四半世紀近くになるこの建物を今後どう使うか、また具体的な改築の提案が行なわれた。おそらく、更新の時期を迎えるために、クセのあるポストモダン建築のリノベーションは、これから重要なテーマになるだろう。川崎市市民ミュージアムでは、ブラーバという2日間のかわさきアートフェスティバルのイベントを開催中だった。演奏や演劇などで逍遥空間のアトリウムを積極的に活用したり、手前の広場に出店が登場したり。アプローチと建物の正面が別になっていることを解消する仕掛けである。この施設では、まだまだ活用できる場は多そうだ。
2014/10/13(月)(五十嵐太郎)
デュフィ展
会期:2014/10/09~2014/12/07
愛知県美術館[愛知県]
愛知県美のラウル・デュフィ展を見る。線画とは必ずしも一致しない、カラフルな色彩設計の方法が面白い。開口部の描き方において、窓学的にも、興味深い作品が幾つかある。以前、パリ市立近代美術館で見学した、万博時に制作された大きな壁画「電気の精」が、こちらでは描かれた群像について、詳しく解説されていた。常設展エリアの若手企画では、占部史人が展示室を大海と島々に見立てた作品を設置している。
2014/10/11(土)(五十嵐太郎)
春木麻衣子「みることについての展開図」
会期:2014/10/10~2014/11/08
TARO NASU[東京都]
TARO NASUギャラリーにて、写真家の春木麻衣子の展覧会「みることについての展開図」を見る。剥製を撮影した断片的なイメージを組み合わせた写真が、展開図のように、部屋に配置され、いわば多次元的な空間を出現させている。ほかに画面の中の人工植物の位置を組み換え、異なるイメージに変化させている写真もあった。
2014/10/10(金)(五十嵐太郎)