artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

オープン・スペース2014

会期:2014/06/21~2015/03/08

NTTインターコミュニケーション・センター[ICC][東京都]

常設エリアの志水児玉の水の波紋でレーザー光のリフレクションが複雑にゆらめく作品が良い。現時点では、まだその映像をコンピュータが計算するよりも、水という自然現象に委ねるほうが早く精度が高いのだろう。「ひらめきとはてなの工場」展は、岡田憲一のピクセルファクトリーがアナログ感覚で楽しい。

2014/08/23(土)(五十嵐太郎)

イントゥ・ザ・ストーム

映画『イントゥ・ザ・ストーム』(監督:スティーヴン・クォーレ)は、空港の飛行機まで浮き上がらせ、街を徹底的に破壊しており、『ツイスター』や『パーフェクト・ストーム』を軽く超える暴風の凶暴ぶりで、災害映画に期待される最重要ポイントをクリアしていた。物語としては、家族愛がどうのこうのよりも、多視点、多カメラの状況において、人はどうふるまうのかが興味深い。意外に良かったのが、脇役だが、冒険バカ二人組のキャラだった。

2014/08/22(金)(五十嵐太郎)

トランスフォーマー/ロストエイジ

テキサス(父と娘)ーシカゴ(本社奪還)ー広州(工場叛乱)ー香港(決戦)という流れだが、物語のディテールよりも、途中から緩急なしにクライマックスがずっと続く、てんこ盛りのマイケル・ベイ節はまったく健在である。しかし、日本は過去の侍でしか表象されず、ハリウッド映画における現代中国(資本)のプレゼンスの大きさを痛感さぜるをえない内容だった。

2014/08/18(月)(五十嵐太郎)

成田享 美術/特撮/怪獣 ウルトラマン創造の原点

会期:2014/07/19~2014/08/31

富山県立近代美術館[富山県]

富山県立近代美術館の「成田亨 美術/特撮/怪獣」展は、過去最大の回顧展だろう。武蔵美を出て、当初はアーティストをめざしつつ、『ゴジラ』などを契機にウルトラマンの怪獣デザインを手がけるようになり、晩年は古今東西の怪獣を描くことに捧げた生涯を紹介する。ウルトラマン・シリーズの怪獣は、筆者にとっては、生まれて初めて興味をもった造形であり、最初に影響を受けたアーティストと言えるかもしれない。

2014/08/17(日)(五十嵐太郎)

もうひとつの美術館、「いえとまちのかたち」、スペシャルトーク「いえとまち、コミュニケートのかたち」

会期:2014/06/14~2014/08/31

もうひとつの美術館[栃木県]

栃木県那珂川町のもうひとつの美術館(2001年開館)へ。廃校になった木造の校舎を転用し、アール・ブリュットを専門に展示する、日本では最初期の施設である。校庭には盆踊り大会の櫓がまだ残り、今も地域の集まりの場所だということがうかがえる。「いえとまちのかたち」展は、建築的な絵画を中心とし、やはり家型のイメージが強い作品が少なくない。カラフルな色彩、まっすぐでない線、時代の流行に影響を受けないことから作家の世代がわからないことが特徴である。とくに50枚展示された掘田哲明の絵画が凄い。30年間、1000枚の絵を描き続け、一見どれも同じ家型の反復なのだが、よく見るとすべての家が違うのだ。

写真 展示風景 掘田哲明《家》

2014/08/16(土)(五十嵐太郎)