artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

東北大学五十嵐研究室ゼミ旅行(1日目)

会期:2014/09/10~2014/09/11

[兵庫県]

神戸で集合した後、21名で三台に分乗し、研究室のゼミ旅行で淡路島をまわる。初日は、屋根がゆるやかな曲線を描く隈研吾の《淡路サービスエリア》(1998)、阪神淡路大震災の記憶を残すべく、自然の断層をそのまま現地で保存する《野島断層保存館》(昭和設計/1998)、安藤忠雄による《本福寺の水御堂》(1991)と、だいぶ植物に覆われるようになった《夢舞台》(2000)の建築群をまわる。こうした安藤建築のコースは、筆者にとって15年ぶりくらいでとても懐かしい。夕食は淡路ワールドビレッジにてバーベキューを行なう。ここは高床式住居、パオ、蔵、アフリカの家、トレーラーハウスなどがあり、それらに宿泊可能な場所だった。夜は、安藤忠雄による《TOTOシーウインド淡路》(1997)に泊まり、毎年恒例の研究室コンペを開催する。今回は東北大の学園祭における五十嵐研の展示計画がお題であり、5案から2時間かけて佐々木瞭案に絞る。


《野島断層保存館》


安藤忠雄《本福寺の水御堂》


安藤忠雄《夢舞台》

2014/09/10(水)(五十嵐太郎)

村野藤吾──やわらかな建築とインテリア

会期:2014/09/03~2014/10/13

大阪歴史博物館[大阪府]

大阪の歴史博物館にて、「村野藤吾──やわらかな建築とインテリア」展を見る。大きく言うと、3つの特徴をもっている。第一に、孫へのデザイン性の高い海外土産やお茶を習うなど、村野の私生活を紹介していること。第二に、手すりなど解体物件の一部や家具などの1/1の実物展示。そして第三に、大阪に所縁のある作品を詳しく紹介している。

2014/09/10(水)(五十嵐太郎)

artscapeレビュー /relation/e_00027616.json s 10104051

フィオナ・タン まなざしの詩学

会期:2014/07/19~2014/09/23

東京都写真美術館[東京都]

フィオナ・タン「まなざしの詩学」展は、メディアの差異や、アイデンティティと記憶の問題をテーマに扱う。とくに《インヴェントリー》(2012)は、筆者の好きなロンドンの建築家ジョン・ソーンの自邸に展示された古代遺物を6種類の映像メディアで記録したものである。建築空間の説明はなく、コレクションを断片的かつ複合的視点で表現していた。またフィオナ・タンのドキュメンタリー映像《興味深い時代を生きますように》は、面白くて60分、つい最後まで見る。アジアと西洋のハーフとして生まれた彼女のルーツをたどるべく、オランダ、オーストラリア、インドネシア、香港、ケルン、そして起源となる中国のタン族の村へとたどりつく。華僑の移動とネットワーク力に感心させられた。

2014/09/06(土)(五十嵐太郎)

artscapeレビュー /relation/e_00022640.json s 10104050

岡村昭彦の写真 生きること死ぬことのすべて

会期:2014/07/19~2014/09/23

東京都写真美術館[東京都]

岡村昭彦の「生きること死ぬことのすべて」展は、国際的に活躍したフォト・ジャーナリストの回顧展である。ベトナムの報道写真で一躍注目されるも、しばらく入国を禁止され、アイルランドを拠点にナイジェリア、ドミニカ、アメリカなどの現場をまわる。世界各地の争いの記録から、20世紀の一断面が生々しく垣間見える。

2014/09/06(土)(五十嵐太郎)

artscapeレビュー /relation/e_00026700.json s 10104049

郊遊〈ピクニック〉

ツァイ・ミンリャンの映画「ピクニック」を見る。家なき親子と女のシンプルな物語で、ほとんどセリフもない。いや、これは映像なのか、絵/写真なのかと、つい考えてしまうような廃墟での、美しく静止した長いカットの数々が続く。こうした衝撃は、冒頭のシーンからいきなりガツンとやられる。まるで展覧会を見ているかのような映画だ。

2014/09/06(土)(五十嵐太郎)