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五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

ヨコハマトリエンナーレ2014「華氏451の芸術:世界の中心には忘却の海がある」

会期:2014/08/01~2014/11/03

横浜美術館、新港ピアほか[神奈川県]

ヨコハマトリエンナーレでの2度目の横浜美術館入り。今回は、これを聴くべきと噂になっていた、ディレクターの森村泰昌さん自身による音声ガイドに導かれながら鑑賞する。改めて本当に好きな作品を集めたのだとよくわかる。やはり、テーマと深く関わる第3話の『華氏451』の部屋が、一番作品の解説が多く、とても力が入っている。これまで、ゆっくりまわれなかった作品を見ておく。美術館では最後となる第6話の部屋が、もっとも森村個人の趣味を感じる。なお、映像系の作品は時間がかかり、何度かに分けてみるしかないので、あいちトリエンナーレのように、何度も入れるパスがあるとありがたい。


マイケル・ランディ《アート・ビン》2010/2014


第3話 左:ドラ・ガルシア《華氏451度 (1957)》2002 右:《Moe Nai Ko To Ba》2014


2014/10/22(水)(五十嵐太郎)

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リアス・アーク美術館開館20周年記念特別展 震災と表現

会期:2014/09/17~2014/11/03

リアス・アーク美術館[宮城県]

前回は荒天で往生したが、今回は晴天なので運転を見合わせることはないだろうと安心していたら、反対方向の電車にカモシカが衝突し、大船渡線が単線のために到着が遅れた。展示は参加者が多いため、BOX ART形式をとり、サイズを制限しつつ、さまざまなアーティストのほか、美術系や建築系の研究室から震災に関連した作品が並ぶ。各自の感じた311への長いテキストも寄せられ、資料的な価値をもっている。

関連シンポジウム「震災と表現 美術の社会的役割について」では、椹木野衣、槻橋修らと登壇した。福島/原発を軸にゲリラ的な活動を展開する前者と、宮城・岩手/津波被災地において記憶を喚起する失われた街の白模型による支援型のワークショップを行なう後者が対照的である。おそらく、これはたまたまというよりは、アートと建築のジャンルの違い、あるいは異なる被災地における時間の流れの違いを反映していると思う。

2014/10/19(日)(五十嵐太郎)

仮想のコミュニティ・アジア─黄金町バザール2014

会期:2014/08/01~2014/11/03

高架下スタジオ Site-Aギャラリーほか[神奈川県]

会場隣に直接止められる便利なチョイモビで、黄金町バザールの「仮想のコミュニティ・アジア」に行く。以前に比べて、作品の数が減ったようだ。ややパワーダウンしたように思うが、不気味なインスタレーションのポール・モンドック、建築家チームによる黄金茶室、レジデンスのスタジオにアンナミラーズやメイドカフェの誘致を試みて「失敗」し、あえて空室を展示する太湯雅晴などが印象に残った。



左:ポール・モンドック《住めば都》

右:チーム《黄金茶室》

2014/10/16(木)(五十嵐太郎)

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POWER TO THE PEOPLE

会期:2014/10/07~2014/10/19

東北電力グリーンプラザ(仙台)アクアホール[宮城県]

仙台にて、東北電力グリーンプラザアクアホールの「POWER TO THE PEOPLE」展を見る。武谷大介の企画により、馬力や風力など、アーティストがエネルギーをテーマにした作品が並ぶ。メディアでも報道されていたが、不審物のようだということで問題視され、公開が一時延期されていた、村上タカシの福島の土壌とガイガーカウンタの作品は、ぽつんと暗い別室に置かれ、展示場から矢印を幾つかたどった先の、建物の奥にあった。
公式サイト http://elpoepeht.com

2014/10/15(水)(五十嵐太郎)

本田忠敬写真展 クブレ通りの古い家

会期:2014/10/11~2014/10/13

納屋[神奈川県]

鎌倉駅近くのリノベーション・スペース「納屋」へ。もとは「扇屋質店」であり、2階の洋間、大き過ぎる扉、牛乳店時代の痕跡など、謎が多い大正末期の木造建築だ。お披露目に、本田忠敬の写真展「クブレ通りの古い家」と、この建物自体の写真展を開催し、旧金庫などを効果的に使う。それに佐野絵里子による住宅のスケッチが花を添える。


左:本田忠敬写真展展示風景
右:佐野絵里子によるスケッチ

2014/10/13(月)(五十嵐太郎)