artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

IN SITU-1

会期:2014/09/13~2015/01/04

エスパス ルイ・ヴィトン東京[東京都]

ルイ・ヴィトン表参道のエスパスにおいて、公開制作をするソ・ミンジョンの作品をめぐって、プレス向けのトークを行なう。今回はあいちトリエンナーレ2013のときのような歴史的な建築を実測して、それを1/1で再現し、破壊するタイプの作品ではなく、実在しない建物を設定し、東京における建物の存在感をテーマとしている。筆者のスーパーフラット論における東京のイメージなどが着想源になったという。ともあれ、まだ部材を切り出している段階だったが、解体と消滅に向けて、彼女の公開制作が続く。

2014/10/10(金)(五十嵐太郎)

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建築文化週間2014 建築夜楽校「東京オリンピック2020から東京を考える」第2夜「オリンピック以後の東京」

会期:2014/10/09

建築会館ホール[東京都]

建築学会のシンポジウム「オリンピック以後の東京」にコメンテーターとして出席する。この回は藤村龍至が企画したもの。白井宏昌は、オリンピックにおける都市施設の歴史を振り返り、分散型の東京2020が未来モデルになりうるという。一方、為末大は、選手の目線から、健康で歩きたくなる街のヴィジョンを語る。そして市川宏雄は、グローバリズムの時代における生き残りの国家戦略として東京一極集中論を唱える。

2014/10/09(木)(五十嵐太郎)

TOKYO TRIBE

ラップ・ミュージカルはうまくはまっていたし、園子温節全開の暴れぶりで痛快だった。岩井俊二の音楽映画『スワロウテイル』における無国籍的な円都は、真面目に風呂敷を広げすぎて、後半から辛かったが、これはそもそもハチャメチャだし、一夜のストリート・ギャングの抗争にとどめており、最後まで架空の東京という世界観が崩れない。

2014/10/08(水)(五十嵐太郎)

みちのおくの芸術祭 山形ビエンナーレ2014 山をひらく

会期:2014/09/20~2014/10/19

文翔館、山形まなび館、旧西村写真館、東北芸術工科大学キャンパス、やまがた藝術学舎、香味庵まるはち[山形県]

文翔館は、正面のトラフのもうひとつのサッカー場に始まり、アートよりも、わりとデザイン的な作品が多い。地図が不親切で、探すのに苦労した旧西村写真館の会場は、近代建築そのものがおもしろかった。今回、山形市にいろいろ残っている小さな近代建築を見ることもでき、それも街なかアート展開の副産物である。

山形まなび館では、地元新聞社と連携した俳句と漫画のプロジェクトを展示していた。ここではビエンナーレの別企画として、山形市所蔵美術品展「名品撰」も開催していた。市が各施設で展示している山形ゆかりの作家の絵画を集めて展示するというもの。真下慶治、片岡球子らの24作品である。せっかくだからビエンナーレと連動して、もっといい空間で展示したらよいと感じた。

東北芸工大の会場では、三瀬夏之介らの「東北画は可能か?」の展覧会と、大学院のアトリエ公開を行なう。前者は、山形ビエンナーレにおいて一番印象に残ったプロジェクトである。迫力のある巨大な作品群、東北リサーチをもとにした共同制作の絵などが展示されていた。彼らは、「可能か?」という問いを継続しながら、水や山などの東北的な要素を拾い上げつつも、固定した様式に収束しない多様性をめざす。

写真(上から):
山形まなび館
文翔館前に設置されたトラフによるもうひとつのサッカー場
旧西村写真館


「東北画は可能か?」会場風景

2014/10/08(水)(五十嵐太郎)

坂町のアトリエ

[広島県]

竣工:1988年

最後は村上徹の手がけた《坂町のアトリエ》(1988)へ。山の公園の端部に位置し、そこから海を一望する絶妙のロケーションである。1/4の円弧の壁が描く輪郭と、直角二等辺三角形のコンクリートの壁の隙間にガラスの開口。自然を背景としたシンプルな幾何学の建築だ。今回の滞在は、改めて広島にキャラがたつ建築家が多いことを再認識する機会となった。

2014/10/05(日)(五十嵐太郎)