artscapeレビュー
小吹隆文のレビュー/プレビュー
福村真美 展
会期:2010/06/01~2010/06/13
ギャラリーモーニング[京都府]
前回の個展では琵琶湖畔の風景やプールのある風景など、水辺を描いた作品が印象深かったが、新作では一転して動物園がテーマになっていた。昼寝するチーターや3羽のフラミンゴを描いた牧歌的な作品はその典型だ。しかし、私が気になったのは、主がいないペンギン用の水槽と思しき風景。エメラルドブルーを基調とする水面と灌木の緑がとてもみずみずしい。やはりこの人の真骨頂は青や緑系の使い方にある。
2010/06/01(火)(小吹隆文)
渡辺信子 展
会期:2010/05/31~2010/06/05
信濃橋画廊[大阪府]
4室を有する信濃橋画廊のうち、メイン以外の小展示室3つで個展を開催。木枠に布を張った彼女ならではの作品だったが、点数は控えめで部屋ごとに色遣いを変えていた。作品による空間の変容がテーマで、作品単体ではなくコーディネートが重視されていたのだ。見慣れた展示室がいつもとは少し違って見えたのが印象的だった。こういう試みを日常的空間、例えば個人の邸宅や住宅展示場で行なったらどうなるのだろう。さぞかしユニークな展覧会になると思うのだが……。
2010/05/31(月)(小吹隆文)
田中幹人 PHOTO EXHIBITION~あぶない所へ行ってみよう~
会期:2010/05/25~2010/05/30
同時代ギャラリー[京都府]
工事中の高速道路の橋脚や今は使われていない遊園地の観覧車、公園のモニュメントなどに登ってポーズを決めた写真を、地上から仰ぎ見るように撮影している。写っているのは作家本人だ。基本はゲリラ活動で、時には管理者に怒られながらも懲りずに制作を続けているらしい。とてもシンプルで馬鹿馬鹿しいとも言えるのだが、それゆえに痛快さが際立っていた。アホなことを真剣にやる格好良さ。その一点に賭けた作品だ。
2010/05/26(水)(小吹隆文)
プレビュー:have a place─むこうの方─
会期:2010/06/19~2010/07/04
KAVCギャラリー[兵庫県]
場と作品の交感を通じて、サイトスペシフィックな世界を作り上げる若手女性作家5人──川口淳子、河村るみ、柴田さやか、島なぎさ、菅本祐子──による展覧会。いずれも2009年に京都の元立誠小学校で行なわれた展覧会「humid」の出品メンバーだ。同展での繊細かつ新鮮な展示が脳裏に焼き付いているので、場を神戸に移した本展でもやってくれるのではないかと期待している。出品者5人のうち4人が名古屋で活動する作家というのも関西では珍しく、それも注目ポイントのひとつだ。
2010/05/20(木)(小吹隆文)
プレビュー:パラモデルの 世界はプラモデル
会期:2010/06/26~2010/08/01
西宮市大谷記念美術館[兵庫県]
玩具のプラレールをどこまでも増殖させていくインスタレーションで知られるパラモデルの個展。彼らが地元関西の美術館で個展を行うのは初めてではなかろうか。会場の西宮市大谷記念美術館には美しい庭園や茶室もあるので、彼らが場をどう使いこなすかがとても楽しみだ。受けて立つ美術館側も、藤本由紀夫による一日だけの展覧会シリーズを10年間続けてきた実績があり、大概の要求にはたじろがないはずだ。アーティストと美術館がうまく噛み合って、キャラ立ちした個展になることを期待する。
2010/05/20(木)(小吹隆文)