artscapeレビュー

建築に関するレビュー/プレビュー

OSIRIS Egypt’s Sunken Mysteries

会期:2017/02/10~2017/07/16

リートベルク美術館[スイス]

庭園内にあるリートベルク美術館へ。19世紀の本館の横に、装飾的なパターンを伴うガラスのエントランスをもつ、アルフレット・グラジオーリとアドルフ・クリーシャニッツの設計による新館をつくり、地下で両者をつなぐ。その背後に鹿の頭の剥製風彫像が中央につく建物があり、ちょっとジャン・ジャック・ルクーの空想建築風で驚く。リートベルク美術館は、非西欧系のアートを展示する施設である。常設は時計回りに中国、日本と並ぶが、その次がコンゴなどのアフリカにいきなりジャンプしていた(東南アジアやインドは別棟)。が、普通は横に置かないエリアを隣接させていただけに、平面的な表現を洗練させる日本美術と、荒々しいが、抽象的な立体の造形操作に優れたアフリカの違いがはっきりとわかって興味深い。展示のための什器はクールなデザインであり、ガラスケースで見せる収蔵庫も楽しい。企画はオシリス/エジプト展を開催し、神話の基本知識から最近の研究成果までを扱う。石の彫像の丸みを帯びた表面はつるつるのままで、本当に劣化しない最強の素材である。別館では、インドの細密画を紹介している。

写真:左上から=リートベルク美術館本館、ジャン・ジャック・ルクー風の建築、展示のための什器 右上2枚=新館 右下=収蔵庫

2017/05/14(日)(五十嵐太郎)

Europaallee

[スイス]

チューリッヒ中央駅の脇に増改築された庇に沿って先に進むと、europaalleといういままさに巨大再開発が進行中のエリアとなる。ギゴン&ゴヤー、デヴィッド・チッパーフィールド、ヴィール・アレッツなど、多くの建築家がプロジェクトに参加している。すでに半分近く建物が完成しており、ヴォリュームや窓の配置などを通じて、相互に関係性をもち、新しい街並みを形成していた。

2017/05/14(日)(五十嵐太郎)

《ル・コルビュジエ・センター》

[スイス]

高く上にかぶせた造形的な屋根と、正方形パターンのキュービックな展示室を空間的に分離させた《ル・コルビュジエ・センター》へ。前に訪れたときは閉館中だったため、外からガラス越しにのぞいて帰ったが、やはり内部に入って、隅々まで歩くと、ここでしか味わえない立体的な空間の体験がある。またル・コルビュジエとクセナキスによる《フィリップス館》(電子の詩の映像をフルで見たのは初めて)ほか、パヴィリオン建築の企画展を開催していた。

写真:左上から=《ル・コルビュジエ・センター》外観、パヴィリオン建築の企画展、電子の詩、《フィリップス館》模型

2017/05/14(日)(五十嵐太郎)

《PARKHAUS OPERA》

[スイス]

Zach + Z ndによるオペラハウスの駐車場とその地上出入り口を見る。レーザーカットした金属パネルで装飾的な皮膜をつくり、駐車場は視認性に配慮したり、歴史の展示なども行なう。ところで、ヨーロッパでは通常、美術館か博物館に行くと、その都市の新しい建築ガイドを入手でき、事前には得られない情報をもとに、まわる場所を新しく決めているのだが、チューリッヒでは結局、見つけることできなかった。

2017/05/14(日)(五十嵐太郎)

フラウミュンスター(聖母聖堂)

[スイス]

教会なのだが、シャガールとジャコメッティが描いたステンドグラスがあるため、現在は有料かつ撮影不可の場所になっている。もちろん、色使いや絵と色のズレなどは全然違うのだが、シャガールのゆるい感じの人の描き方を見ながら、しりあがり寿を思い出した。ジャコメッティは、縦長のプロポーションになった窓を担当しており、彼の絵と建築部位の相性がよかった。

2017/05/13(土)(五十嵐太郎)