artscapeレビュー
建築に関するレビュー/プレビュー
《PRIME TOWER》、フライターグ・ショップ・チューリッヒ
[スイス]
ガラス張りの彫刻のような《プライムタワー》は、チューリッヒでひときわ目立つ高層ビルである。さすがに最上階の飲食店からの眺めがよい。これもギゴン&ゴヤーが手がけたものだが、日本の場合、その都市で一番高いビルは通常、ゼネコンか大手設計組織の仕事であり、建築家が関わることはない。すぐ近くにコンテナを積んだチューリッヒ・フライターグ・ショップもある。屋台で賑わっており、映画『スワロウテイル』に出てくる円都のような舞台装置的な空間だった。
写真:下2枚=フライターグ・ショップ・チューリッヒ その他=《PRIME TOWER》
2017/05/13(土)(五十嵐太郎)
スイス連邦工科大学チューリッヒ校(ETH Zurich)
[スイス]
郊外にあるチューリッヒ工科大学(ETH)の工学系のキャンパスでの用事を終え、ヴィットリオ・ランプニャーニらの建築学科の教員に案内してもらう。想像以上に大きいのだが、どうやら地下でほとんどの棟がつながっているらしい。ヴェネツィアビエンナーレ国際建築展のスイス館でもその成果が展示されたように、ロボティクスやデジタル・ファブリケーションの分野で大きな予算を獲得しており、未来の建築を予感させるような先端的な試みに取り組んでいる。が、その一方で、CIAMや創設者である19世紀の建築家ゴットフリート・ゼンパーなど、歴史的なアーカイブもとても充実していたのが印象的だった。なお、大所帯の建築学科だが、日本からの留学生は東工大からの2名だけで、アジア人ではやはり中国が多いという。
写真:左上=ロボティクス 左中=実験建築の仮組 右中=CIAMのアーカイブ 下=ゴットフリート・ゼンパーのアーカイブ
2017/05/12(金)(五十嵐太郎)
Vibrant Metropolis / Idyllic Nature. Kirchner ─The Berlin Years
会期:2017/02/10~2017/05/21
チューリッヒ美術館[スイス]
チューリッヒ美術館へ。ドイツ表現主義を代表するエルンスト・キルヒナーのベルリン時代に焦点をあてた企画展を開催していた。彼は建築を学んで画家になり、夜の街と女たちを独特の筆致で描いていた。が、第一次世界大戦に従軍し、心を病み、療養生活に入ったところまでが紹介されていた。そして常設展示のエリアがかなり広い。スイスにゆかりが深い、幻想的なヨハン・ハインリッヒ・フュースリ、象徴主義のアーノルド・ベックリン、世紀末に活躍したフェルディナンド・ホドラー、アルプスを描いたジョバンニ・セガンティーニなどが充実している。特にホドラーの部屋は、その空間デザインも含め、緊張感がみなぎっていた。
写真:左中=エルンスト・キルヒナー 左下=ホドラーの部屋 右上から=チッパーフィールドの新美術館プロジェクト、ジャコメッティ、セガンティーニ
2017/05/12(金)(五十嵐太郎)
アルトシュタット(旧市街)
[スイス]
およそ10年ぶりのチューリッヒへ。午後に到着し、ホテルから近いノイエ・マルクト、ミュンスター通りの旧市街、リマト川沿いから中央駅までのエリアを散歩する。屋根の傾斜、古典主義の処理、教会の塔などのデザインがかわいく見えて、同じヴォキャブラリーを共有するものの、イタリア、フランスのそれとはだいぶ違う造形的なクセやスケール感をもっている。
2017/05/11(木)(五十嵐太郎)
《地図を作る保育所》
[神奈川県]
今年のU-35に出品するナノメートルアーキテクチャーが手がけたオフィス・ビルに設けられた保育所を見学する。まだ完成前だったが、天井から吊る格子、床のライン、壁、可動家具にグリッドをはりめぐらすインテリアである。場所は路面で、隣にコンビニもできるようだが、施設の性質上、外へのドアはメインの出口とせず、オフィスとも切り離す自律した空間となっているのが興味深い。
2017/05/08(月)(五十嵐太郎)