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建築に関するレビュー/プレビュー

ガリバルディ駅

[イタリア、ミラノ]

ガリバルディ駅に移動。この周辺は万博前後に現代建築群が増加し、景観が激変している。アメリカ、あるいは日本的とでも言うべきか。しかし、変化前からあったコルソ・コモのギャラリー+カフェ+ショップは、とてもいい雰囲気のリノベーション空間だった。新しい郊外的な未来風景とは対照的である。本の品揃えも多く、倉俣、ソットサスのコーナーを設けたり、Ljubodrag Andricのカッコいい壁写真の展示もあって、特にショップが素晴らしい。コルソ・コモは、こうしたリノベーションを流行させたきっかけになったという。ガエ・アウレンティ広場(彼女の建築はないのだが)からカスティリオーニ通り、アルヴァ・アアルト広場(やはり彼の建築はない)の向こうまで、中央駅からも見えるアメリカ型の高層ビル、隈研吾風、藤本壮介風の建築などが出現し、なんだかスゴイことになっている。まるでSF映画を見ているようだ。

写真:左・右上2枚=《ガリバルディ駅》周辺 右下2枚=コルソ・コモのギャラリー+カフェ+ショップ

2016/09/08(木)(五十嵐太郎)

ミラノ

[イタリア、ミラノ]

ミラノへ。10年以上ぶりの訪問だろうか。2015年に万博が開催されたからだと思うが、駅や街がかなりキレイで便利になっている。外からは清潔に見えてしまうが、おそらく何かが消え、排除されたのだろう。愛知万博のときも公園からホームレスが一掃されたように。またある意味でイタリアらしくない現代建築の開発が、このタイミングで急増したようだ。

写真:《ミラノ駅》

2016/09/08(木)(五十嵐太郎)

エクセルシオール・ミラノ

[イタリア、ミラノ]

ジャン・ヌーヴェルによるエクセルシオール百貨店は、パサージュに面した建物の改装で制限を伴うプロジェクトだが、街路からも見える大きな電光スクリーン群、未来的に光るエスカレーターなど、彼らしい空間になっている。20世紀半ばのコルソ・エウロパの複合施設は、まさに建築群が都市をつくっている。サン・バビラ駅周辺のトーレ・SNIAヴィスコーサは80年前の建築だが、日本と違い、昔の文化遺産という扱いではなく、普通に都市景観に参加している。

写真:左=《エクセルシオール百貨店》 右=上から、コルソ・エウロパの複合施設外観、内観、《トーレ・SNIAヴィスコーサ》

2016/09/08(木)(五十嵐太郎)

《モンテドリア集合住宅とオフィスビル》ほか

[イタリア、ミラノ]

今回はジオ・ポンティをいろいろめぐるつもりだが、まずはガレリア近くのアニェーロの建物、中央駅近くの《モンテドリア集合住宅とオフィスビル》を訪れた。いずれも小さい写真だとわかりづらいが、実物は凹凸のあるタイルがファサードに豊かな表情を与えている。また窓のパターンや微妙な屈曲をもつ造形のデザインも面白い。ポルタ・ヴェネツィア駅近くの《カーサ・エ・トーレ・ラシーニ》は、ジオ・ポンティの1934年の作品であり、モダンな大理石のキューブは周囲から際立つ。また《カ・ブルッタ》の建つ交差点に面して、ジオ・ポンティの第1と第2《モンテカティーニ・オフィスビル》が並ぶ。前者が1938年、後者が1951年だが、いずれも平滑な面に仕上げたファサード、開口部の配置、アルミや大理石など素材の組み合わせが美しい。特に前者はミース型でないビルとして白眉と言える。

写真:左=上から、《ガレリア》、ジオ・ポンティによるアニェーロの建物、《カ・ブルッタ》 右=上から、《モンテドリア集合住宅とオフィスビル》《第1モンテカティーニ・オフィスビル》《第2モンテカティーニ・オフィスビル》

2016/09/08(木)(五十嵐太郎)

サンタ・マリア・プレッソ・サン・サティロ聖堂

[イタリア、ミラノ]

ブラマンテが設計したサン・サティロ教会を久しぶりに訪れる。奥行きがないために、内陣の空間を確保できず、遠近法を利用したレリーフ状のモチーフを設け、T字プランを十字であるかのように錯覚させた建築だ。ルネサンスが街中にひっそりと当たり前のように残るのは、やはりよく考えると、すごいことである。一方、観光客が大挙して押し寄せるドゥオモは、大聖堂なのに、とうとう入場料をとるようになり、京都・奈良の社寺に近づいてきた。

写真:《サン・サティロ教会》

2016/09/08(木)(五十嵐太郎)