artscapeレビュー

《モンテドリア集合住宅とオフィスビル》ほか

2016年10月15日号

[イタリア、ミラノ]

今回はジオ・ポンティをいろいろめぐるつもりだが、まずはガレリア近くのアニェーロの建物、中央駅近くの《モンテドリア集合住宅とオフィスビル》を訪れた。いずれも小さい写真だとわかりづらいが、実物は凹凸のあるタイルがファサードに豊かな表情を与えている。また窓のパターンや微妙な屈曲をもつ造形のデザインも面白い。ポルタ・ヴェネツィア駅近くの《カーサ・エ・トーレ・ラシーニ》は、ジオ・ポンティの1934年の作品であり、モダンな大理石のキューブは周囲から際立つ。また《カ・ブルッタ》の建つ交差点に面して、ジオ・ポンティの第1と第2《モンテカティーニ・オフィスビル》が並ぶ。前者が1938年、後者が1951年だが、いずれも平滑な面に仕上げたファサード、開口部の配置、アルミや大理石など素材の組み合わせが美しい。特に前者はミース型でないビルとして白眉と言える。

写真:左=上から、《ガレリア》、ジオ・ポンティによるアニェーロの建物、《カ・ブルッタ》 右=上から、《モンテドリア集合住宅とオフィスビル》《第1モンテカティーニ・オフィスビル》《第2モンテカティーニ・オフィスビル》

2016/09/08(木)(五十嵐太郎)

2016年10月15日号の
artscapeレビュー