artscapeレビュー
建築に関するレビュー/プレビュー
ベルンハルト・ハンス・ヘンリー・シャロウン《ベルリン・フィルハーモニー》
[ドイツ、ベルリン]
竣工:1963年
ハンス・シャロウンの《フィルハーモニー》へ。内部に入るのは初めて。有機的な造形という意味では昨年訪れたアアルトの《フィンランディア・ホール》を想起させるが、もっと飾り気のないソリッドな空間である。ワインヤードの形状がホワイエにも反映し、一見複雑だが、エリア分けを示すアルファベット一文字のサインをたどると、スムーズに座席に着く。通常はいつも満席だが、風変わりなプログラムのおかげで、ベルリンフィルを聴くことができた。冒頭が映画「サイコ」の浴室における殺人シーンで有名なバーナード・ハーマンの曲である。一斉に弦楽器群が切り裂き音を奏でる箇所は、パーフェクトなピッチで音が澄み、まさに鋭いナイフだった。次曲が特に断片化の著しいシェーンベルグである。そして、ツインドラムが印象的なニールセンの四番で最後を飾る。
2015/09/19(土)(五十嵐太郎)
絵画館(文化フォーラム内)
[ドイツ、ベルリン]
ドイツを中心にヨーロッパ各国の作品を陳列する。パリ、ウィーン、ロンドンの目玉美術館に比べると、やや物足りないが、それでもかなりのヴォリュームで、同時代の諸国比較の勉強になる。ただし、中心部での次回企画展設営の関係のようだが、U字の順路で同じルートをまた、そのまま帰る動線には閉口した。
2015/09/19(土)(五十嵐太郎)
I.M.ペイ《ドイツ歴史博物館展示ホール》
[ドイツ、ベルリン]
竣工:2004年
I.M.ペイが新棟を手がけた《ドイツ歴史博物館》は、ちょっとクラシックだけど、ガラスと石の表情は安定感がある。展示室も、幾何学ルールをもとにつくられており、変則的な空間だったが、これを逆手にとった1945年展の会場構成が見事である。始点から各方向に進むと、ドイツのナチス政権が西欧各国に与えた惨禍をさまざまな資料とともに振り返る。日本だと、この内容の展示はすぐにクレームが来て、できそうにない。
2015/09/19(土)(五十嵐太郎)
デイヴィッド・チッパーフィールド《Am Kupfergraben 10》
[ドイツ、ベルリン]
竣工:2007年
チッパーフィールドによるギャラリーの集合体《Am Kupfergraben 10》は、写真で説明しにくい、現地で初めてわかる傑作だった。自ら関わった新博物館ほか、周囲の歴史的建築の文脈を徹底的に読み込んだデザインや素材のモダンな空間である。また、ダン・フレイヴィンを展示していた3階は、光の効果でさらに空間の凄味を増す。
写真:上=Am Kupfergraben 10外観、下=ダン・フレイヴィン展示風景。
2015/09/19(土)(五十嵐太郎)
SAQ《BIKINI BERLIN》
[ドイツ、ベルリン]
竣工:2014年
SAQアーキテクツらによるビキニ・ベルリンへ。1950年代の古い商業施設の増改築で、背後にある動物園という敷地の利点を生かし、再生ショッピングセンターの内部や屋上から猿山が見学できる!(ドバイなら最初から合体建築でつくるかもしれないが)増築部分は、人工的なランドスケープのようだ。
2015/09/18(金)(五十嵐太郎)