artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
長者町ゑびす祭り

会期:2012/11/10~2012/11/11
長者町[愛知県]
長者町のえびす祭りを体験する。斉と公平太のゆるキャラ・アートの長者町くんのほか、あいちトリエンナーレ2010のときに制作されたKOSUGE1-16の山車によるパレードが人目をひいた。ダイナミックな回転運動、そしてゲートをくぐるときに上下する頂部。これはまさしくモバイル・アーキテクチャーだった。都市の祝祭をうたうトリエンナーレのアート作品が、町の祭りに組み込まれたことも素晴らしい。
2012/11/10(土)(五十嵐太郎)
長者町アート☆プラネタリウム

会期:2012/11/10~2012/11/25
Chapter2+長者町7・8・9丁目[神奈川県]
横浜の長者町といえば伊勢佐木町に隣接するちょっと猥雑な夜の街。その長者町の商店の人たちの協力を得て、8人のアーティストが路上や店頭に作品を展示している。北川純はパチンコ屋の隣の駐車場に高さ5メートルくらいあったろうか、巨大な深紅のバラの造花を吊った。よく見ると花心にポッチリ丸いものがあり、ちょっとエロい。安全面でも風紀面でもヤバそうだが、よくやらせてくれたもんだ。千代紙を使って作品をつくるチヨガミストの上畠益雄は、商店の柱や軒にあたかも貫通してるかのように千代紙製の立体を設置。これはよくできてる。これを無許可でやったらちょっとシャレたストリートアートになる。あとは何十軒ものお店に「ちょうぷくちゃん」のキャラクターを貼っていった竹本真紀や、駐車場に巨大な金属彫刻を置いた杉山孝貴などが健闘したが、全体として作品数の少なさ、密度の薄さは否めない。いちばん目立ちそうなタムラタクミのミラーボールが残念ながら、設置予定場所の神社の許可が下りず未実現というのも大きかった(数日後に実現)。こういう試みはもっともっと増えてほしいと思う。
2012/11/10(土)(村田真)
奈良・町家の芸術祭 HANARART2012

会期:2012/10/27~2012/11/11
五條新町、御所市名柄、郡山城下町、田原本寺内町、八木札の辻、三輪[奈良県]
奈良県内の古い町並みを残す地域で行なわれる現代美術イベント。2回目の今年は、作家ではなくキュレーターを公募した(HANARARTこあ)。選出された11組のキュレーターが6地域・15会場で展覧会を統括することにより、作品の質や展示の一体感が向上、また、キュレーターが自ら積極的に広報や発信を行なうという効果も表われた。他の地域型アート・イベントとの差別化を図る意味でも、この方式は有効であろう。同時に、自主参加を希望する作家のためのカテゴリー(HANARARTもあ)も設置されており、気配りが感じられた。ただし、作品の質にはばらつきがあった。この手の地域型イベントで重要なのは地元住民に認められることだが、この点でも、幾つかの地域では主催者が想定した以上の盛り上がりが見られたという。細かい課題を挙げればきりがないものの、2回目のHANARARTは目標を達成したと言えるのではないか。
2012/11/10(土)(小吹隆文)
トリエンナーレスクール「原っぱと鉄の浮遊する粒子」
会期:2012/11/09
名古屋市美術館 2階 講堂[愛知県]
名古屋市美術館にて、トリエンナーレスクール「原っぱと鉄の浮遊する粒子」を行なう。個展を開催中の彫刻家、青木野枝と建築家の青木淳のトークの進行役をつとめる。あるがままに美術館を受けとめ、それに合わせて作品を制作・設置する青木野枝と、周囲の環境を読み込み建築の主張を消していく青木淳。やはり、世界に対する態度において共通点が感じられた。それゆえ、気が合うのだろう。二人が共同した吉祥寺のAOAO荘のエピソードも興味深い。美術家と建築家のトークは意外に多くはないが、これは両者の接点を感じさせる未来志向の貴重なものだった。ごく自然にさりげなく当たり前に二人が語っていたことで、その邂逅の希有さが感じられないほど。
2012/11/09(金)(五十嵐太郎)
TUAD mixing! 2012「記憶の声 Voices of Memory」/原高史×Responsive Enviroment(西澤高男)

会期:2012/10/22~2012/11/08
山形の東北芸術工科大学にて、和田菜穂子がキュレーションした「記憶の声」展/原高史×RE(西澤高男)を見る。椅子の上で点滅する光と声、ハンモックに揺られながらささやく声を聴くインスタレーション、音声データと連動する壁のQRコード、インタビューを吹き込んだカセットテープ、来場者がメッセージを書く「言の葉」、人々の記憶からインスピレーションを得た絵画など、複数のメディアを用いて、3.11の出来事を含む、学生や教員のさまざまな声と記憶を体験するもの。そして最終日ということで、映画監督であり学長の根岸吉太郎と「記憶と風景」をめぐってトークを行なう。記録と記憶の違い。視覚ではなく、匂いや音を通じた記憶、あるいは場所にタグ付けされた記憶。記憶のアーカイブと接続することで、拡張される記憶などが話題になった。
2012/11/08(木)(五十嵐太郎)


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