artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
来往舎現代藝術展9 インスタレーションワークショップ「ことばの森」

会期:2012/11/15~2012/11/21
慶応義塾大学来往舎ギャラリー[東京都]
近藤幸夫ゼミの学生有志で企画・運営される来往舎現代藝術展、9回目の今年はミヤケマイによる言葉を使った参加型の公開ワークショップが行なわれた。植木が置かれた会場には、参加者が書いた文がシリトリのように上から連なり、まさに「ことばの森」。昨年の「菅木志雄展」とはずいぶん違うなあ。それより床に敷きつめたオガクズ、掃除が大変そう。
2012/11/15(木)(村田真)
カタログ&ブックス│2012年11月
展覧会カタログ、アートにまつわる近刊書籍をアートスケープ編集部が紹介します。
「3.11とアーティスト|進行形の記録」記録集

企画・構成:竹久侑
編集:メディア・デザイン研究所
企画補佐:石井一十三
執筆:竹久侑、鷲田清一、椹木野衣、畠山直哉
年表作成:齋藤歩(メディア・デザイン研究所)、竹久侑
英文翻訳:コミューナ・トランスレーション・デザイン有限責任事業組合、Michael Levine、弓谷秀樹
写真:根本譲
デザイン:川村格夫(ten pieces)、河原弘太郎
発行日:2012年11月16日
発行:水戸芸術館現代美術センター
定価:1,900円(税込)
*展覧会会期中は、水戸芸術館内のミュージアムショップ「コントルポアン」のみでの限定販売
サイズ:A4判変形(バインダー式)、168頁
水戸芸術館現代美術ギャラリーにて開催中の展覧会「3.11とアーティスト|進行形の記録」の記録集。展示風景の写真と震災以降の活動概要で同展を再現するほか、参加作家へのメール・インタビューとテキスト(竹久侑、鷲田清一、椹木野衣、畠山直哉)によって、震災以降の社会の変動を辿る。震災以降の社会事象(震災・原発/文化・芸術)をまとめた年表も収録。「あれから」を見つめ「これから」を考えるための、もうひとつの「現在形の記録」。
アーカスプロジェクト 2010-2011 いばらき 活動記録集

発行日:2012年8月29日
発行:アーカスプロジェクト実行委員会 茨城県南芸術の門創造会議
サイズ:210×148mm 160頁
茨城県の守谷とその周辺地域を起点に、国際的に活動するアーティストが滞在制作を行うアーティスト・イン・レジデンスプログラム。レジデンスプログラムの紹介に加えて、過去に招聘したアーティストの現在の活動を追うアーティスト一覧や地域プログラムについての項目が設けられた、アーカスプロジェクト2010年から2011年の活動記録。[ARCUS サイトより]
アートスクールで学ぶ 101のアイデア

著者:キット・ホワイト(村上華子 訳)
発行日:2012年10月29日
発行:フィルムアート社
サイズ:132×180mm 123頁
定価:1,995円(税込)
アートの“本質”を身につけるための発想とは何か。作り、観て、深く感じるための方法が満載!ドローイングの基本、表現形式や素材の選び方から、構図の作り方、観察力の養い方まで。制作のテクニックと世界と対話するためのすべて─。[本書表紙より]
IMA 2012 Autumn Vol.1

発行日:2012年8月29日
発行:アマナホールディングス
サイズ:298×226mm 212頁
定価:1,500円(税込)
特集テーマは「家族」。写真が生まれてから今日に至るまで、洋の東西を問わず、数えきれない写真家がテーマとしてきた「家族」。この100年のバラエティに富んだ作品を振り返ることで、多様な世界観と手法の違いを楽しみ、また変革する世界の流れに思いを馳せる。[IMA サイトより]
陰影論 デザインの背後について

著者:戸田ツトム
発行日:2012年2月20日
発行:青土社
サイズ:180×126mm 255頁
定価:1,995円(税込)
速度と効率最優先の資本主義とデザインが、自然と環境を廃墟へと導く。運動/静止、強さ/弱さ、表層/深層と、見失われた微妙な空間に潜む〈陰影〉の豊かなダイナミズムを、デザインは捕捉・蘇生し、新たな社会を構築できるか─。[本書帯より]
森山大道 カラー color

森山大道 カラー color
発行日:2012年4月30日
発行:月曜社
サイズ:257×183mm 312頁
定価:4,830円(税込)
東京 2008-2012。白と黒のコントラスト、粒子のテクスチャー、フィルムと印画紙のマチエールを離れ、「色」に溺れることもなく、「そこにある東京」をコンパクトデジタルカメラ片手に4年にわたり撮りつづけた待望の最新作=カラー作品集![月曜社 サイトより]
2012/11/15(木)(artscape編集部)
大岩オスカール──Traveling Light

会期:2012/11/14~2012/11/26
渋谷ヒカリエ8階キューブ[東京都]
オスカールが東京都現代美術館で個展を開いたのは2008年というから、4年ぶりに見る新作展だ。作品は(本人も)ぜんぜん変わってない。マンネリに陥るのでも自己模倣にハマるのでもなく、ひたすら描き続けているらしい。相変わらず東京ともニューヨークともサンパウロともつかない都市や郊外やジャングルの風景に、判じ絵やダブルイメージなどの遊び心を加えて寓意性を高めているが、同時に、いやそれ以上に色彩と筆触の醸し出す絵画性にも注目したい。たとえば、都市の片隅や森林の枝葉など主題から外れた部分の描写。彼はそんなどうでもいいような細部を義務的に処理するのではなく、むしろ中心主題より画面の端っこにこそ描く喜びが宿るといわんばかりに奔放に筆を走らせる。それが鑑賞者にも伝わるから見ていて楽しいし、そこにオスカールの真骨頂があると思う。
2012/11/14(水)(村田真)
そこからの景色

会期:2012/11/05~2012/11/17
ギャラリーなつか[東京都]
彫刻の伊東敏光、絵画の吉田夏奈、版画の吉永晴彦による風景を主題にした3人展。なかでも山を人体や頭部に見立てた伊東の風景彫刻がおもしろい。風景を彫刻でつくるのは最近ちょっとした流行のようだが、その場合たいていは急峻な山だ。こんどはぜひ平野を彫ってほしい。
2012/11/13(火)(村田真)
MOTアニュアル2012──風が吹けば桶屋が儲かる

会期:2012/10/27~2012/02/03
東京都現代美術館[東京都]
この弛緩しきった緊張感はなんだろう? 2000年の「ギフト・オブ・ホープ」を最後に、ゆるーい団体展状態が続いていた「MOTアニュアル」だが、今年は久々にコーフンした。「美術館の備品を手作りで再現して、設置しました」などと記した紙を並べた森田浩彰に始まり、下道基行、ナデガタ・インスタント・パーティー、奥村雄樹、佐々瞬、田村友一郎、そしてなにも展示しない田中功起まで、すべてがこの美術館、この展覧会をモチーフに作品づくりをしているように見受けられる。のみならず、出品作家同士が協力し、相互に影響し合い、すべての作品がつながってひとつの大きな作品を形成しているようにも感じられるのだ。ひとりひとりの作品は相変わらずゆるいけど、ゆるいまま合体したら個々の作家性を超えてメタアニュアルなできそこないのガンダム状態になりました、的な前代未聞の事態に陥っているのだ。「MOTアニュアル」史上最高のデキだと思う。いや結論はまだ早い。桶屋が儲かるまでもう少し時間がかかりそうだから。これはもういっかい見に行く価値がある。
2012/11/13(火)(村田真)


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