artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
加藤智大 個展「LIFe IS STEEL FULL!」

会期:2012/05/25~2012/06/16
TEZUKAYAMA GALLERY[大阪府]
首都圏を拠点に活動している加藤の関西初個展。これまでの作品は、キャンバスの代わりに鉄板を木枠に張った絵画や、日用品を鉄で細部まで精巧に模倣した立体などが知られている。本展では鉄製の茶室が発表された。建屋はもちろん、茶碗、茶筅、茶釜、掛軸、一輪挿しなどすべてが鉄製で、その徹底ぶりには驚くばかり。しかし、そのたたずまいは決してエキセントリックではなく、むしろシックで茶道の美意識にも叶っているように思われる。重量が気になるが、移動茶室として用いれば面白がる茶人もいるのではなかろうか。
2012/06/07(木)(小吹隆文)
Summer exhibition inside and out in the sculpture park of Haus am Waldsee

会期:2012/06/06~2012/08/26
haus am waldsee[ドイツ・ベルリン]
ベルリン郊外の住宅街にある家をリノベーションしたHaus am Waldseeを訪れ、1970年代以降生まれの若手彫刻家展を見る。背後には大きな庭と池が展開し、在ベルリンの和田礼治郎が、詩的な環境彫刻、水に浮かぶ四畳半モデュールの強化ガラスを出品していた。
写真:和田礼治郎によるイゾラ・シリーズの作品
2012/06/06(水)(五十嵐太郎)
平川典俊「木漏れ日の向こうに」

会期:2012/04/14~2012/06/10
群馬県立近代美術館[群馬県]
僕は以前、平川典俊について「なぜ東京で『東京の夢』を見ることができないのか」という文章を書いたことがある(『déjà-vu』19号、1995年4月)。そのなかで、平川のことを「知的なアラキ」なのではないかと論じた。彼の「東京の夢」(1991年)、「At a bedroom in the middle of night」(1993年)、「女、子どもと日本人」(1994年)などの写真作品に見られる、モデルの女性の性的なイメージを直接的に開示するのではなく、「じらし」や「ほのめかし」によって暗喩的に表現していく手法が、荒木と共通しているのではないかと考えたのだ。
その印象は、今回群馬県立近代美術館で開催された、彼の日本の公共美術館では初めての大規模な個展を見てもそれほど変わらなかった。ただ、平川自身がカタログに掲載されたアート・リンゼイとの対談「不確定の目撃者」でも強調しているように、彼と荒木とは「アートへのアプローチに於いては全く違った位置にいる」こともよくわかった。荒木の写真が、あくまでも彼と被写体となる女性との直接的な(私的な)関係を基点にしているのに対して、平川のモデルたちは彼のプロジェクトの一要素としてのみ取り扱われている。彼が常に問題にしているのは彼女たちの社会的な違和感や不安感であり、さらにその写真を見る観客の、抑圧され、歪められた反応のあり方なのだ。また平川が提示するイメージは、彼自身による大量のテキストによって、二重、三重に取り囲まれており、絡めとられており、観客の思考をその文脈によって方向づけていく。多くの場合、テキスト抜きに、いきなり物質化した性的イメージを突きつけてくる荒木とは、その点においても対照的だ。
それでも、平川がなぜこれほどまでに、性的な感情を刺激し、揺さぶるような写真にこだわり続けているのかという疑問は残った。彼は、自分は「写真に固執しているのではない」と何度も述べているが、僕のような立場から見ると、彼の写真のたたずまいは実に魅力的なのだ。昆虫が花の蜜に引き寄せられるような心理的な罠が、至るところに仕掛けられていて、知らず知らずのうちに妄想の糸を紡ぎ出すように導かれてしまう。他のヴィデオ作品やインスタレーション作品に比べても、彼の写真作品の巧妙さ、独特の喚起力は際立って見える。平川典俊は天性の写真家なのではないだろうか。少なくとも、彼ほど写真の力を熟知し、効果的に使用しているアーティストは他にあまりいないのではないかと思う。
2012/06/05(火)(飯沢耕太郎)
ブルームバーグ・パヴィリオン・プロジェクト

会期:2011/10/29~2012/10/上旬
東京都現代美術館パブリック・プラザ[東京都]
美術館のエントランスの横に角張った雲みたいな建造物が建っている。このなかで昨秋から約1カ月ずつ、1年間にわたって若手アーティストを紹介していこうというのがブルームバーグ・パヴィリオン・プロジェクト。パヴィリオンを設計したのはブルームバーグさんではなく、若手建築家の平田晃久。じゃブルームバーグってなんだっつーと、金融情報プロバイダーで(なんだそれ?)、このプロジェクトのスポンサーらしい。このなかで、5~6月は毛利悠子の個展が開かれている。靴を脱いでパヴィリオン内部に入ると、さまざまな日用品や家電、楽器、機械類が置かれ、一部はコードでつながれて動いたり光ったりしている。センスのよいインスタレーションだけど、こういうのはもう少し落ち着いた場所で見たい気がする。
2012/06/05(火)(村田真)
トーキョーワンダーウォール公募2012入選作品展

会期:2012/05/26~2012/06/17
東京都現代美術館[東京都]
平面・立体合わせて878人の応募者のなかから、入選者73人の作品を展示。競争率が約12倍の難関だが、その結果がこれだから、審査会場にはさぞかし巨大なゴミの山が築かれたに違いない。そんなゴミの山から宝を探すのがこの公募展の醍醐味といえよう。全体にパターン化した作品が目につくなか、最後の部屋のムカイヤマ達也と九鬼みずほの絵画がよかった。この部屋にはなぜかほかにも鮫島ゆい、江川純太ら佳作が固まっているが、優秀作品を最後にもってきたわけではないことは、受賞作品が全体にばらけていることからも明らかだ。つーか、なにを基準に受賞作品を選んでいるんだろう?
2012/06/05(火)(村田真)


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