artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
ジョージェ・オズボルト「Same, same but different」
会期:2012/05/25~2012/06/23
TARO NASU[東京都]
ふたりの日本人女性によるストイックなペインティングを見たあとで、こいつのひょうきんな絵を見ると、ああなんて絵画は広くて深くて自由なんだろうとうれしくなる。
2012/06/14(火)(村田真)
絵画、それを愛と呼ぶことにしようvol.2 俵萌子

会期:2012/05/26~2012/06/23
gallery αM[東京都]
両国から歩いて東日本橋へ。東近の主任研究員である保坂健二朗がキュレーターを務める「絵画、それを愛と呼ぶことにしよう」という赤面しちゃいそうなシリーズの第2弾は、関西を拠点にする俵萌子。パッと見、思い切りのいい絵具の運びは室井と共通するが、画面も制作方法も俵のほうが求心的だ。色彩的には褐色と白が中心だが、画面には(とくに大作は)必ずといっていいほど中心があって、白(または赤)の絵具がこんもりと盛り上がり、構図的にはだいたい右肩上がりの斜め方向に傾いている。この特徴は、画面に置いた絵具とのやりとりのなかから自己の内面性を引き出していくという彼女の制作方法に由来するのだろう。最初は偶然性や衝動に身をゆだねているようにも見えるが、描き進めるうちに次第に曖昧さが確信に変わっていくように思える。そうするとなぜか右肩上がりになる(右手で描くから?)。いずれにせよ、着地点は室井よりもはっきり見えているような気がする。
2012/06/14(木)(村田真)
室井公美子「Opposite bank」

会期:2012/05/26~2012/06/23
ギャラリーモモ両国[東京都]
今日は立て続けに2本、いかにもペインティングらしいペインティングを見た。まずは室井公美子。室井の絵画を特徴づけるのは紫がかったグレーの色彩と、絵具が画面を流動するような筆触だが、それ以外の要素、たとえば形態や構築性や地と図の関係などは、今回の約30点の新作のなかでも、また過去の作品のファイルを見ても、あったりなかったり、または行ったり来たりして安定しない印象だ。会場でもらったペーパーには「“狭間”に私は惹かれる」とか「画面とコンタクトを取るように流動的に進めてゆく」とか「矛盾を抱え謎を孕んだものを作りたい」といったことが書かれているが、おそらく作者は最終地点を設定せずに、さまざまな“狭間”を行き来しつつ矛盾を抱え込んだまま、いつのまにか着地しているのかもしれない。それでも、だれが見ても室井の絵だとわかるところが室井の室井たるゆえんだ。
2012/06/14(木)(村田真)
吉田重信 展「心ノ虹」
会期:2012/06/02~2012/06/16
Gallery Camellia[東京都]
決して広くはない会場の扉を開けると、床一面が小さな靴でびっしりと埋め尽くされていた。サイズから察するに、おそらく子どもたちが履き古した靴なのだろう。窓ガラスが赤く加工されているため、不穏な空気感が漂っている。おびただしい靴がすべてこちらを向いていたこと、そして空間全体に立ち込めた靴の匂いが、ただならぬ気配によりいっそう拍車をかけていたのだろう。放射能の危機に晒されている子どもたちの姿をおのずと連想してしまうが、それはあくまでも鑑賞者の主観的な判断だとしても、いずれにせよ強く、烈しく、そして痛々しく、鑑賞者の心に訴えかけてくる作品であることはまちがいない。このような情動性は、かつてであれば回避するべき要素だったのかもしれないが、東日本大震災以後の想像力をたくましくして生きざるをえない私たちにとって、それが想像力に効果的に働きかけるという点で、むしろ必要不可欠なアートのひとつなのではないだろうか。
2012/06/14(木)(福住廉)
小島敏男 展

会期:2012/05/30~2012/06/16
a piece of space APS[東京都]
花鳥風月という言葉があるように、これまでの美術は花を特権化してきた。だが、なぜ花ばかりが執拗に描かれる一方で、幹や葉、根は美術家の視線から外されてきたのだろうか。その正確な理由はわからない。だが、例外的な美術家がいないわけではない。小島敏男が木から掘り出しているのは、金木犀の葉。朽ち果てる寸前なのだろうか、どちらかといえば硬質な葉の触感をみごとに表わしている。花ではなく葉を、しかも生命力あふれる若葉ではなく、終わりを控えた葉を形象化した小島の作品は、美術家のやるべき仕事がまだまだ残されていることを如実に物語っていた。
2012/06/14(木)(福住廉)


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