artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
写真新世紀 東京展 2011

会期:2011/10/29~2011/11/20
東京都写真美術館 地下1F展示室[東京都]
2年前までは審査をしていたにもかかわらず、なぜか会場を歩いていて遠い距離感を感じてしまった。審査のシステムは同じだし、応募者数が極端に減ったわけでもないのだが、なんとなく会場全体に「過ぎ去ってしまった」という雰囲気が漂っているのだ。スタートが1991年だからもう20年が過ぎてしまったわけで、名前も含めて何かを大きく変えなければならない時期にきていることは間違いない。「やめてしまえ」とまで言うつもりもないが、続けることにあまり意味がなくなっているのではないだろうか。
今回の優秀賞は5名。赤鹿麻耶(椹木野衣選)、奥山由之(HIROMIX選)、木藤公紀(清水穣選)、パトリック・ツァイ(大森克己選)、山田真梨子(佐内正史選)である。そのなかでは、巨大なポートフォリオ・ブック作品「風を食べる」を出品した赤鹿麻耶のスケール感が際立っていた。背景に水、炎、煙などをセットアップして撮影したポートレートが中心だが、写真に勢いがある。関西大学で中国文化を学び、現在はビジュアルアーツ大阪の夜間部にいるというキャリアもなかなかユニークだ。もう一回り大きくなっていきそうな可能性を感じたのは彼女だけだった。グランプリを受賞したのも当然だと思う。「赤鹿」という名前もどこか神話的だ。新人がデビューしてくるとき、名前はけっこう重要なファクターになる。
いつもなら佳作に面白いメンバーが揃うのだが、今回はやや小粒に感じた。佳作作品のポートフォリオで印象に残ったのは、山本渉「線を引く」(大森克己選)、菊池佳奈「百色むすめ」(椹木野衣選)、加納俊輔「WARP TUNNEL」(清水穣選)、滝沢広「月の岩」(同)といったところだろうか。
2011/11/16(水)(飯沢耕太郎)
村上三郎─70年代を中心に─

会期:2011/11/12~2011/12/17
ART COURT Gallery[大阪府]
村上三郎といえば、「紙破り」など具体美術協会時代の仕事に注目が集まりがちだが、本展では1970年代の活動をフォローしている。彼の1970年代の作品はコンセプチュアルで、写真や資料、パーツ以外はほとんど残っていない。それらを丹念に拾い上げ、一望できるようにまとめ上げたのだから意義深い企画展と言えよう。また、アトリエに残されていた1950~60年代の抽象表現主義絵画も、修復を施して出品されており、その意義も強調しておきたい。このような仕事は、本来美術館が行なうべきものだ。それが思うに任せない現状を憂うばかりである。いっそのこと、本展自体を美術館に売り込んでみてはいかがだろうか。
2011/11/16(水)(小吹隆文)
陶画塾 展

会期:2011/11/15~2011/11/20
ギャラリーマロニエ[京都府]
陶画塾という画塾があるのかと思いきや、それは若手陶芸家達が絵付けを勉強するために開いている勉強会のことだった。本展では同塾で制作された絵が展示されているのだが、これがめっぽう面白かった。有名な絵付けの模写や、実際の絵付けを前提とした下絵ばかりでなく、独立した絵画作品も多数あり、極めてバラエティに富む絵画展となっているのだ。作品はどれも墨絵で、書き初めで用いられる縦長の半紙に描かれている。それらが展示室の壁面を2段重ねで埋め尽くしているさまは、まさに圧巻。まるで新ジャンル誕生の瞬間に立ち会っているかのようだった。
2011/11/15(火)(小吹隆文)
プレビュー:梅田哲也 展「大きなことを小さくみせる」
会期:2011/11/12~2011/12/04
神戸アートビレッジセンター[兵庫県]
家電製品や日用品を用いた自作の装置と風などの自然現象を組み合わせた作品を発表している梅田哲也の個展。12月4日には朝食を楽しみながら参加、観覧するというユニークなライヴイベントも。今展と同時期に大阪で開催される、「小さなものが大きくみえる」という展覧会の会場は木造アパート。場所の特性を活かしたインスタレーションになることには違いないが、まったく異なる趣きの空間でどのような作品が展開するのかどちらも見てみたい。
2011/11/15(火)(酒井千穂)
プレビュー:龍野アートプロジェクト2011 刻の記憶

会期:2011/11/18~2011/11/26
うすくち龍野醤油資料館周辺の醤油蔵/龍野城/聚遠亭[兵庫県]
たつの市の城下町に残る古い醤油蔵や龍野城など、文化遺産に美術作品が展示されるアートプロジェクト。地域在住、出身の美術作家、フランス・ルーアン市美術学校卒業生のほか、招待作家として尹煕倉、東影智裕、小谷真輔が参加する。このプロジェクトのブログでは、展示会場となる醤油蔵の内壁を塗り直すワークショップや掃除が地元の高校生を交えて行われている様子や、フランスの作家と地元の人々の交流も紹介されている。少し遠く感じる場所だけれど、この機に足を伸ばしてみたいところだ。
2011/11/15(火)(酒井千穂)


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