2020年11月15日号
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artscapeレビュー

写真新世紀 東京展 2011

2011年12月15日号

会期:2011/10/29~2011/11/20

東京都写真美術館 地下1F展示室[東京都]

2年前までは審査をしていたにもかかわらず、なぜか会場を歩いていて遠い距離感を感じてしまった。審査のシステムは同じだし、応募者数が極端に減ったわけでもないのだが、なんとなく会場全体に「過ぎ去ってしまった」という雰囲気が漂っているのだ。スタートが1991年だからもう20年が過ぎてしまったわけで、名前も含めて何かを大きく変えなければならない時期にきていることは間違いない。「やめてしまえ」とまで言うつもりもないが、続けることにあまり意味がなくなっているのではないだろうか。
今回の優秀賞は5名。赤鹿麻耶(椹木野衣選)、奥山由之(HIROMIX選)、木藤公紀(清水穣選)、パトリック・ツァイ(大森克己選)、山田真梨子(佐内正史選)である。そのなかでは、巨大なポートフォリオ・ブック作品「風を食べる」を出品した赤鹿麻耶のスケール感が際立っていた。背景に水、炎、煙などをセットアップして撮影したポートレートが中心だが、写真に勢いがある。関西大学で中国文化を学び、現在はビジュアルアーツ大阪の夜間部にいるというキャリアもなかなかユニークだ。もう一回り大きくなっていきそうな可能性を感じたのは彼女だけだった。グランプリを受賞したのも当然だと思う。「赤鹿」という名前もどこか神話的だ。新人がデビューしてくるとき、名前はけっこう重要なファクターになる。
いつもなら佳作に面白いメンバーが揃うのだが、今回はやや小粒に感じた。佳作作品のポートフォリオで印象に残ったのは、山本渉「線を引く」(大森克己選)、菊池佳奈「百色むすめ」(椹木野衣選)、加納俊輔「WARP TUNNEL」(清水穣選)、滝沢広「月の岩」(同)といったところだろうか。

2011/11/16(水)(飯沢耕太郎)

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