artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
THE INTRODUCTION
会期:2010/12/22~2010/12/26
メグミオギタギャラリー[東京都]
バンクシーはじめ8人のグラフィティライターの作品を紹介する5日間だけの展覧会。キャンベルのスープ缶をパロったバンクシーを含めてウォーホルのパロディが多いのは、やっぱり作品がポピュラーだし、商業主義の象徴ともいえるからだろうか。いずれにせよグラフィティはタブローにして売るものではないなあ。
2010/12/23(木)(村田真)
京都写真展

会期:2010/12/21~2011/12/26
ギャラリーマロニエ[京都府]
京都在住の写真家たちを中心に、年末の京都で開催される「京都写真展」。今年は11回目を迎え、「時間論」をテーマに25人の写真家たちが出品している。出品作家はアイウエオ順に浅野裕尚、石原輝雄、市川信也、岩村隆昭、奥野政司、金井杜道、金澤徹、木下憲治、小池貴之、小杉憲之、後藤剛、ササダ貴絵、新治毅、杉浦正和、鈴鹿芳康、須田照子、中島諒、宮本タズ子、村中修、森岡誠、森川潔、安田雅和、矢野隆、薮内晴夫、山崎正文である。
ベテラン作家が多く、表現の水準が安定しているので、毎回安心して見ていられるのだがやや活気に乏しい印象があった。だが今回は意欲作が多く、なかなか充実した展覧会に仕上がっていた。前回までは「風景」がテーマだったのが、今回から「時間論」に変わったのが大きいのかもしれない。いうまでもなく、「時間」は写真の最大の表現要素の一つであり、発想がより多様な形に展開できる。今回の出品作にも、金井杜道や奥野政司のように過去に撮影した旅のスナップを再プリントする者もあれば、森岡誠のブレを活かした表現、鈴鹿芳康の合掌する僧侶の手のクローズアップのような、哲学的な解釈に走る者もいる。マン・レイの研究家としても知られる石原輝雄は、郵便物、絵葉書、書籍、シャンパンのコルク、自分自身の古い肖像写真を組み合わせた、興味深いインスタレーションを試みていた。来年以降も面白い展示が期待できそうだ。
なお、ほぼ同時期に、京都市内のギャラリーカト、ヤマモトギャラリー、同時代ギャラリー、ギャラリーマロニエでは「How are you, PHOTOGRAPHY?」
展が開催された。こちらは15回目、のべ参加人数は1500人を超えるという、年末恒例のグループ展である。出品作家は「京都写真展」とも重なっているが、より幅が広く、写真をはじめたばかりの初心者でも気楽に参加できる。こういうイベントが毎年途切れることなく続いているところに、京都という場所の文化的な懐の深さが感じられる。
2010/12/22(水)(飯沢耕太郎)
せんだいスクール・オブ・デザイン 第2回ハウスレクチャー 講師:池田修

会期:2010/12/21
阿部仁史アトリエ[宮城県]
せんだいスクール・オブ・デザイン(SSD)のインタラクティブ・レクチャのシリーズにて、池田修をゲストに迎え、PHスタジオのきちんとしたゲリラ活動と、BankART1929における社会と都市を巻き込む広域な活動について語ってもらった。改めて、彼がキャリアの最初期に、川俣正、北川フラム、原広司と会っていることが、その後の活動に大きな影響をもたらしたことがわかり、興味深い内容だった。考えてみると、SSDのメディア軸のスタジオでやっている五十嵐+磯コンビは、もともとBankARTスクールから始まったものである。2010年11月にスタートした東北大と仙台市が提携する教育プログラムのSSDも、横浜とBankARTの関係と実績がひとつの理想形になるだろう。
2010/12/21(火)(五十嵐太郎)
プレビュー:フジイフランソワ展

会期:2011/01/10~2011/01/22
Oギャラリーeyes[大阪府]
大和絵や琳派など、日本の古典絵画の体裁をとりながら、ねじれたセンスとブラックな笑いをまぶして独自の絵画世界にまとめ上げるフジイフランソワ。今回は、雀やナマコに鈴をつけた《愛玩》シリーズと、小鼓、茶器、小動物が戯れる様子を描いた《九十九髪》シリーズを出品。上品さと胡散臭さが同居する魅惑的なその世界は、一度ハマるとやみつきになること請け合いだ。
2010/12/20(月)(小吹隆文)
プレビュー:加賀城健展“transFLAT”

会期:2011/01/15~2011/02/12
YOD Gallery[大阪府]
染色工芸の世界ではタブーとされる滲みやボケなどをあえて生かして、抽象絵画のような作品へと昇華させる加賀城健。これまでも新機軸の作品を多数発表してきたが、本展では、染色・脱色した布の上からバインダーという液体樹脂で描いた新シリーズ「Veil」を中心に発表。平面作品であると同時にインスタレーションでもある凝った展示で観客を迎える。
2010/12/20(月)(小吹隆文)


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