artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
本堀雄二 展─紙の断層 透過する仏─

会期:2010/06/01~2010/06/28
INAXギャラリー2[東京都]
文字どおりダンボールで作られた仏像。ユニークなのは、スライスしたダンボールを貼り合わせて仏像のフォルムを形作っているところ。だから空間の隙間がダンボールの軽量感と相俟って、仏像らしからぬ浮遊感を醸し出している。じっさい天井から吊るしていたから、そうとう軽いのだろう。台座の上に重量感のある素材を置くことで量塊性を謳いあげる近代彫刻へのアンチテーゼのように見えた。
2010/06/03(木)(福住廉)
オルセー美術館展2010「ポスト印象派」

会期:2010/05/26~2010/08/16
国立新美術館[東京都]
平日とはいえ混雑が予想されるので開館直後に駆けつけたが、すでに黒山の人だかり。おまえら「ポスト印象派」だぞ、「印象派」じゃないんだぞ。といいたいところだが、元祖印象派のモネもあれば、新印象派のスーラ、象徴主義のモロー、ナビ派のモ─リス・ドニまであって、どこが「ポスト」だと八つ当たりしたくなるほど充実していた。個人的にはモローの《オルフェウス》、ドニの《セザンヌ礼賛》あたりが好み。ところで、「オルセー美術館展」は90年代から数年にいちど開かれる日本の風物詩みたいなもんだが、いまパリのオルセー美術館自体が改修工事中なので、日本だけじゃなく世界中で「オルセー美術館展」がはびこってるらしい。こうして作品を貸し出して工事費用を浮かせるわけだから、やはり美術大国はおトク。
2010/06/02(水)(村田真)
今津景「フラッシュ」

会期:2010/05/22~2010/06/19
山本現代[東京都]
いくつかの画像を組み合わせ、イメージを歪めてペインタリーに描いている。なにより色彩が美しい。これはいいなあ。小品があったら飛びついていたところだが、でも小品だと効果が半減するかも。
2010/06/01(火)(村田真)
空山基 個展
会期:2010/05/22~2010/06/19
ナンヅカアンダーグラウンド[東京都]
エアブラシを駆使して、メカニックかつメタリックな質感描写で一世を風靡したイラストレーターの個展。といっても、とても公開できないようなエロい描写もあって、口当たりのいい「イラスト」に収まらない毒牙もあわせもつ。意外なのは、メカやグラマラスな女性の表現では他の追随を許さないけど、マッチョな男の肉体表現は苦手らしい。あきらかにヘテロですな。
2010/06/01(火)(村田真)
坂川守「ワークス2001-2010」

会期:2010/05/22~2010/06/26
児玉画廊[東京都]
庭園美術館と同じ白金地区なのでてこてこ歩いてみたが、ありゃりゃ遠い……。まずは児玉画廊。鮮やかな色彩の絵具のにじみを生かして、元永定正ばりの不定形なイメージや少女マンガ風のキラキラ瞳を、キャンヴァスだけでなく布切れやシートにも描いてる。約10年分のダイジェスト展らしいが、あれこれ試したり楽しんだりしつつ、徐々に中心が定まってきているような印象。
2010/06/01(火)(村田真)


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