artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
眠る為に 中山恵美 展

会期:2010/03/04~2010/03/30
オソブランコ[大阪府]
2年前の個展から花びらを画材として用いるようになった中山。絵具で描かれたピンボケの風景と点描のような花びらのコントラストにより、現実と非現実の狭間にいるような不思議な絵画空間が生み出される。新作で描かれているのは、森の中の邸宅と、野火がついた草原と、顔面をクローズアップした自画像。なかには火がついた家や草原もある。燃える家は棺桶のメタファーらしく、展覧会全体に死のイメージが色濃いのも印象的だった。
2010/03/06(土)(小吹隆文)
Follow up!──創造空間9001ファイナルイベント

会期:2010/03/05~2010/03/14
創造空間9001[東京都]
東横線旧桜木町駅を改装した創造空間9001のファイナル展。改札口を仕切った壁が桜の花のかたちに切りとられ、階段を上がってホームに出られるようになっている。そのホームの端から線路跡をながめると、50メートルくらい先に光るものがある。手前のテーブルに双眼鏡があるのでのぞいてみると、テレビモニターに東横線の電車が映し出されているのがわかる。もっと倍率の高い双眼鏡でのぞくと、なんと、映像のなかの電車に双眼鏡をのぞく自分が映し出されているではないか。これは最高。作者は瀧健太郎。
2010/03/05(金)(村田真)
岩井優 パーククリーニング─もし晴れたら、公園で─[小金井アートフル・ジャック!プログラム]

会期:2010/03/01~2010/03/07
シャトー小金井[東京都]
さまざまなところでさまざまなクリーニングを手掛けている岩井優の個展。今回は空き店舗の空間内に公園から持ち込んだ大量の落ち葉を敷き詰めた。会場の奥には落ち葉の山がそびえ立ち、訪れた子どもたちにとっては格好の遊び場だったが、周囲には色とりどりの液体が入れられた梅酒の赤フタ瓶が置かれていて、それらはよく見ると数々のゴミを液体洗剤に漬けたものだった。タイトルに暗示されているような牧歌的な雰囲気と毒々しい文明の利器。その両極を丸ごとひっくるめたリアルな美学を、岩井はまさぐりだそうとしているようだ。
2010/03/05(金)(福住廉)
笹岡敬 展 Reflex 2010/WATER 2010

- Reflex 2010
- 2010/03/02~2010/03/07
立体ギャラリー射手座[京都府] - WATER 2010
- 2010/03/06~2010/03/19
CAS[大阪府]
笹岡敬が京都と大阪で2週連続個展を開催。京都の作品は、赤、黄、青のパトライト(回転灯)がランダムに速度を変化させながら発光・回転するするインスタレーションで、ミニマル音楽にも似た麻痺的な刺激が得られるものだった。大阪の作品は、天井から青と黄の電球が垂らされ、床には満面の水をたたえた円筒のガラス容器が置かれているというもの。床に映り込むガラス容器越しの屈折光や、壁面に映る観客の影が美しかった。タイプこそ違えど、光学原理を応用して静謐な空間を作り上げた点で両作品は共通する。また、最小の装備で大きな効果を引き出す点も同様だ。笹岡の冴えた手腕を再確認した。
2010/03/04(木)・2010/03/08(月)(小吹隆文)
アーティスト・ファイル2010──現代の作家たち

会期:2010/03/03~2010/05/05
国立新美術館[東京都]
とくにテーマもなく、30~50代のアーティスト7人による絵画、写真、映像を集めたアニュアル展。会期はひな祭りから端午の節句までゾロ目でそろえているが、だからといって子ども向けの展覧会というわけでもない。O JUNのキテレツな絵画は独創性で独走しているし、石田尚志の映像は、描く行為の時間性と絵そのものの無時間性の対比を際立たせている。鮮やかな色彩といいペインタリーな筆さばきといい、いまどきの絵画全開の桑久保徹の絵もいいなあ。みんな絵画だ。
2010/03/02(火)(村田真)


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