artscapeレビュー

美術に関するレビュー/プレビュー

植松未帆 展

会期:2009/04/14~2009/04/19

ギャラリーはねうさぎ[京都府]

初個展だという植松は大学生。表現や手法に関しての迷いが感じられる作品が多く、中途半端な印象もあったが、カラーペンで描いたドローイングはそんな若い作家の感覚や感情がストレートに表われていて、イメージの世界に惹き付けられるものがある。世代はひとまわりくらい違うし、本人はあまり読んだことがないそうだけれど、ちりばめられたモチーフには70年代の少女マンガのような雰囲気も。

2009/04/19(日)(酒井千穂)

ラ・マシン 巨大クモパフォーマンス

会期:2009/04/16~2009/04/19

新港ピア、日本大通りなど[東京都]

横浜開港150周年を記念する「開国博Y150」のプレイベントとして、フランスのナント市から機械仕掛けの巨大クモ2匹が初上陸し、新港ピアから日本大通りまで練り歩いた。こういうイベントに使われるアート作品というのはたいてい見かけ倒しで、期待はずれに終わることが多い(しかも「アート」を口実にショボさを恥じない)のだが、これは予想以上にすごかった。まずなんてったってカッコイイ。外骨格的形態もカッコイイし、動きもいい。脚がワラワラ動くのだが、実際に動かしているのは車。その脚を操作する人たちも車も丸見えなんだけど、あえて隠そうとしないとこがカッコいいんだな。いちばんカッコよかったのは、そのあとについてくる楽隊。クレーン車の上で演奏してる。このへんは日本人には真似できない。つーより、せいぜい真似しかできない。

2009/04/19(日)(村田真)

興福寺創建1300年記念「国宝 阿修羅展」

会期:2009/03/31~2009/06/07

東京国立博物館 平成館[東京都]

巷で話題の阿修羅展。阿修羅像をはじめとする八部衆像、十大弟子像、四天王立像などが一挙に公開されている。それだけでも十分見応えがあるが、なおかつ展示の構成にたいへんな工夫が凝らされているため、来場者の興奮がいやがおうにも高まるようになっている。とくに阿修羅像を除く八部衆像と十大弟子を対面させて展示したり、その後暗いトンネルを抜けた先に阿修羅像を見せるなど、いちいち演出がドラマチックで、いやったらしい。一段高いところから見る阿修羅像は華奢で繊細な印象を与えるが、下から見上げると三面六臂の身体表現が醸し出す大迫力に圧倒される。さらに周囲360°から見回してみると、三つの顔の表情が刻々と変化していく様子が存分に味わえる。とりわけ、8時頃の方角から見る左側の顔は思わず息を呑むほど美しい。

2009/04/19(日)(福住廉)

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瀬戸内国際芸術祭東京プレス発表会

会期:2009/04/17

ヒルサイドプラザ[東京都]

来年の夏から、瀬戸内海東部の7つの島で開催が予定されている国際芸術祭のプレス発表。「タイミングよく金融危機になった。“幸せとはなにか”を考えるチャンスだ」と語る総合プロデューサーの福武總一郎も、「これまで島の孤立性をマイナスに見てきたが、それは海を通じての交流の可能性でもある」と述べる総合ディレクターの北川フラムも、逆境をプラスに転じる天才かもしれない。それだけに「こういうアートイベントやるとき反対にあったことしかないが、今回は好意的すぎて恐い」という北川の感触は、なにか予言的だ。
瀬戸内国際芸術祭2010:http://setouchi-artfest.jp/

2009/04/17(金)(村田真)

吉田暁子「視/夜(しや)意義黎明」

会期:2009/03/25~2009/04/18

東京画廊[東京都]

古屏風や蛍光色のビニールに、これまでになくハデな原色で描いている。他人の絵だろうが壁の汚れだろうがなんでもいいのだが、なにかをきっかけに吉田はイメージを紡ぎ出していく。ちょうどグラフィティのように。だから作品にならないほうがおもしろいかもしれない。

2009/04/16(木)(村田真)