artscapeレビュー

興福寺創建1300年記念「国宝 阿修羅展」

2009年05月01日号

会期:2009/03/31~2009/06/07

東京国立博物館 平成館[東京都]

巷で話題の阿修羅展。阿修羅像をはじめとする八部衆像、十大弟子像、四天王立像などが一挙に公開されている。それだけでも十分見応えがあるが、なおかつ展示の構成にたいへんな工夫が凝らされているため、来場者の興奮がいやがおうにも高まるようになっている。とくに阿修羅像を除く八部衆像と十大弟子を対面させて展示したり、その後暗いトンネルを抜けた先に阿修羅像を見せるなど、いちいち演出がドラマチックで、いやったらしい。一段高いところから見る阿修羅像は華奢で繊細な印象を与えるが、下から見上げると三面六臂の身体表現が醸し出す大迫力に圧倒される。さらに周囲360°から見回してみると、三つの顔の表情が刻々と変化していく様子が存分に味わえる。とりわけ、8時頃の方角から見る左側の顔は思わず息を呑むほど美しい。

2009/04/19(日)(福住廉)

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