artscapeレビュー
美術に関するレビュー/プレビュー
第86回春陽展
ルーヴル美術館展──美の宮殿の子どもたち

会期:2009/03/25~2009/06/01
国立新美術館[東京都]
「子ども」をテーマに時代やジャンルを超えた約200点の出品。やっぱり西洋だから聖母子像が多いが、子どものミイラもあれば子どもの遊び道具もある。それにしても、子どもがテーマにもかかわらず「死」のイメージがつきまとうのはなぜだろう。おそらくルーヴル美術館(に限らないけど)全体が死のイメージに包まれているのだが、そのなかから生(=成長)の象徴である子どもに焦点を当てることで、逆に「死」がオーバーラップしてくるのかもしれない。
2009/04/22(水)(村田真)
高田洋一 展

DUALISM──小栢可愛 展

会期:2009/04/13~2009/04/25
大阪成蹊大学芸術学部スペースB[大阪府]
ギャラリーに入ると、始めに水の入った浅い水槽があり、両手を水の中に浸けるようにうながされた。中に弾力のあるビーズの球が入っていて、触るとゼリーのような感触。水の冷たさと柔らかいその感触に目が覚めていくようだ。この幕間のような時間を経たあとで展示を見せるという作家のさりげない演出がニクくとても気に入った。まだ2年生ととても若い作家だが、平面作品から写真、立体、それらを駆使したインスタレーションと、表現手法は多彩ですでに貫禄さえ感じる。自分自身の存在とその二面性を追究するというテーマもさることながら、彼女の観察力には一目置きたいところだ。今後の活動がとても楽しみ!
2009/04/20(月)(酒井千穂)
小野さや香 個展──蟻ノ思ヒモ天ニ届ケ

会期:2009/04/10~2009/04/19
カフェ&ギャラリーりほう[京都府]
自身の祖母をモデルにした繊細な肖像画を発表してきた小野だが、今展では、さらさらと描いたイラストのようなシンプルな作品がメイン。月と木だけが描かれたものや蟻を描いた小さな作品が並んでいた。普通の民家の部屋のような会場の窓は開け放してあり、白いカーテンが風にそよいでいた。作品それぞれには小野らしい、哲学的なテーマもあるのだが、窓から射し込む夕日や風通しの良い空間がよく似合う清々しさに溢れていて気持ちが良かった。これまでとはずいぶん印象の違う新たな展開だったので、今後の展開も気になった。
2009/04/19(日)(酒井千穂)


![DNP Museum Information Japanartscape[アートスケープ] since 1995 Run by DNP Art Communications](/archive/common/image/head_logo_sp.gif)