artscapeレビュー
ひらがなアート~チバトリ~
2009年01月15日号
会期:11月15日~11月30日
「深淵」を見せつけた(らしい)横浜の国際展とは対照的に、等身大のアートを魅せる千葉の展覧会。アンデパンダンがあり、「風俗美術館」なる企画展もあり、ワークショップにトークショーなどなど、盛りだくさんの内容だ。なかでも傑作だったのが、千葉城の天守閣で発表された岡田裕子の映像作品。いつものように全体的な尺が若干長すぎる気がしないでもないけれど、それでも地元住民をキャスティングしながら、また市内各所でロケ撮影しながら、若い男女が結ばれる物語をコミカルに映像化した手腕には唸らされる。そもそも入館料60円を支払って天守閣に登り、そこで城下町を舞台とした映像を鑑賞するという経験じたいが、十分アートと言えるが、それは「ひらがなアート」というより、その場でしかありえない「地産地消アート」というべきかもしれない。ぜひ次回も開催してほしい。
2008/11/30(日)(福住廉)