artscapeレビュー

デザインに関するレビュー/プレビュー

ポスター天国 サントリーコレクション展

会期:2010/11/13~2010/12/26

サントリーミュージアム[天保山][大阪府]

本展をもって16年間の活動に終止符を打つサントリーミュージアム[天保山]。閉館は関西の美術ファンにとっては痛恨の事態だが、今日までの関西の文化に対する貢献には、感謝というほかない。最後の展覧会は、コレクションの基軸であり、同館が最も得意とするポスター展となった。ギャラリーでは収まりきらず、エントランス部分にまではみ出したポスターは、約2万点のコレクションから選び抜かれた約500点。デザイン史上の傑作から、第2次大戦中のレア物まで、多彩なラインアップで観客を魅了している。入場料も500円とサービス価格になっているので、ミュージアム最後の雄姿をできるだけ多くの人に見てもらいたい。

2010/11/12(金)(小吹隆文)

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ファッション写真展 女神(ミューズ)たちの肖像 モードと女性美の軌跡

会期:2010/10/21~2011/01/10

神戸ファッション美術館[兵庫県]

同館所蔵の、19世紀後半から1990年代までのファッション写真約130点を、各時代のオートクチュールやプレタポルテ(これも所蔵品)とともに展覧。他の美術館では真似のできない、写真と実物をシンクロさせる手法で、非常に説得力のある展示となった。また、会場入口では、ベルナール・フォコンの写真と、彼の作品に登場するマネキン人形数十体を対面配置して観客を歓待するという、心躍る演出がなされていた。写真は、まさにファッション写真史を代表する名作揃い。しかもそのすべてが発表当時のプリントだというのだから恐れ入る。嬉しさと同時に「これだけのコレクションを持ちながら、なぜ今まで有効活用しなかったのか」と、軽い憤りも感じたりして。今後は本展のような工夫を凝らした企画をどんどんやってほしい。

2010/10/21(木)(小吹隆文)

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プレビュー:ポスター天国 サントリーコレクション展

会期:2010/11/13~2010/12/26

サントリーミュージアム[天保山][大阪府]

今年12月末で、16年間の活動に終止符を打つサントリーミュージアム[天保山]。大都市なのに美術館が貧弱な大阪にあって、独自の企画を提供し続けてくれた功績は大きい。それだけに、この度の閉館は関西の美術ファンにとって図り知れないダメージとなるだろう。最後の企画は、同館が最も得意とするポスターの展覧会。サントリー社が所蔵する約2万点のポスターの中から、選りすぐりの400点が展覧される。19世紀末のアール・ヌーヴォーに始まり、1920年代のアール・デコ、1960年代のポップ・アートを経て、1990年代後半の作品まで、グラフィックアートの近代史を一気に展観する内容だ。時代を映し出す鏡とも言えるポスターの名作を見ながら、笑顔でサントリーミュージアム[天保山]とお別れしたい。

2010/10/20(水)(小吹隆文)

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プレビュー:Hoi!「生活とデザインの接点を探る」オランダデザイン展

会期:2010/10/02~2010/11/07

PANTALOON、BY PANTALOON、graf、Toi、space_inframance[大阪府]

コンセプチャルな思考と実用性を絶妙のバランスで実現させているオランダ・デザインのエッセンスを探るべく、同地で活動している5組のデザイナー、アーティスト、教育機関を招聘。建築、グラフィック、食、プロダクト、匂いといった広範なテーマについて、展示、ワークショップ、レクチャーを行う。会場はオーソドックスなギャラリーではなく、デザインスタジオとギャラリーを併設するスペース、ファッションを中心としたセレクトショップ、基礎化粧品や生活関連商品を扱うショップと、出品作家に劣らずユニーク。会期中は大阪市内に点在する5会場を行き来する人たちの姿が目につきそうだ。

2010/09/20(月)(小吹隆文)

PRODUCT

会期:2010/08/28~2010/09/25

ギャラリーノマル[大阪府]

クリエイティブの分野でジャンルの垣根が緩やかになりつつある状況を受けて、画廊ゆかりの6作家(稲垣元則、大西伸明、田中朝子、中川佳宣、永井英男、名和晃平)に「プロダクト」を意識した作品の制作を依頼した。それぞれのスタンスにより作品の傾向はまちまちだが、ドローイングをカレンダー形式で展示した稲垣元則のプランは、日々ドローイングを続ける彼の制作スタイルとジャストフィットしており説得力があった。名和晃平のテレビや携帯電話にガラスビーズを貼り付けた作品は、実用性はともかくオブジェとしては魅力的。永井英男のスクリーンセーバーはそのまま製品化できるクオリティで最もプロダクト寄りのプレゼンだった。しかし、6人のなかで私が最も気に入ったのは田中朝子のルービックキューブ。6つの面に作品イメージが貼り付けられており、揃っても揃わなくても楽しいイメージの遊戯が行える。田中はほかにも「田中フォント」という自筆文字をフォント化した作品を展示しており、こちらも絶妙の出来栄えだった。

2010/08/30(月)(小吹隆文)