artscapeレビュー

その他のジャンルに関するレビュー/プレビュー

スマートイルミネーション横浜2016

会期:2016/11/02~2016/11/06

象の鼻パーク、横浜市開港記念会館ほか[神奈川県]

スマートイルミネーション横浜2016へ。わりとゆるい光のアートが多かったけれど、すごい人出に驚かされた。昼だと興ざめみたいな作品も、夜だとあまりよく見えないので、相当下駄を履かせることができるかもしれない。東京藝大による馬車道の歴史博物館ファサードへのプロジェクションは、古典主義建築の枠組を生かした映像表現になっており、よかった。

2016/11/05(土)(五十嵐太郎)

開館90周年記念 アーカイブズ資料展示 造形講座と東京都美術館

会期:2016/11/03~2016/12/04

東京都美術館[東京都]

1926年開館の東京都美術館も今年で90歳。新築移転してからでも40年以上たつ。なぜ都美館は団体展の貸し会場となったのか、戦時中どれだけ戦争画展が開かれたのか、読売アンデパンダン展における前衛美術家との攻防はどうだったのか……。その1世紀近い歴史の資料を公開するのかと期待して行ってみたら、ぜんぜん違う。立体造形講座とか平面造形講座とか、都美館で開かれていた造形講座の資料しかない。しかもラウンジの片隅にパネルを並べただけの小展示。チラシをよく見たら、小さく「造形講座と東京都美術館」とサブタイトルにあるのを見逃していた。ガーン! すぐ帰ったわ。

2016/11/04(金)(村田真)

世界遺産 ラスコー展 ~クロマニョン人が残した洞窟壁画~

会期:2016/11/01~2017/02/19

国立科学博物館[東京都]

待望のラスコー展! これが国立西洋美術館ではなく、隣の国立科学博物館で開かれるところに、洞窟壁画の立ち位置が示されている。ラスコーの洞窟壁画は「西洋美術」の範疇に入らないばかりか、美術史の枠からも外れた考古学の対象であるということだ。会場に入るとまず、ラスコーの洞窟壁画が発見された経緯や洞窟の構造がパネルやマケットによって紹介され、使われた顔料やランプ、石器などが展示されている。つい忘れてしまいがちだが、そもそも洞窟内は真っ暗で、岩肌は平らでも垂直でもなく凸凹しており、絵具も筆もないなかで、記憶と想像を頼りに絵を描いたという事実。チンパンジーも絵を描くが、あれは人間が画材を与えたから描けるのであって、画材も環境も整っていないなかで絵を描いたというのは、やはり人類にとって大きな一歩というか転換点だったに違いない。
ひととおり予習をしたあとで、いよいよ実物大レプリカの登場となる。これは壁画のなかでも《黒い牝ウシとウマの列》《泳ぐシカ》《井戸の場面》など5場面を凹凸まで精密に再現したもの。もちろん洞窟内部に入ったほどの臨場感はないけれど、最初に絵を描いた原始人の気分をそれなりに味わわせてくれる。ただ一定時間ごとに明かりが消えて線刻された部分だけライトアップするのは、啓蒙的サービスのつもりだろうけど余計なお世話だ。どうせやるなら明かりをランプの焔のようにゆらゆら揺らめかせて、当時の人たちには動物の絵がどのように見えていたか(たぶん動いているように見えたのではないか)を示してほしかった。

2016/11/04(金)(村田真)

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新交響楽団 第235回演奏会

会期:2016/11/03

東京芸術劇場コンサートホール[東京都]

プロの楽団ではないが、『魚座の音楽論』の著者である吉松隆が作曲した「鳥のシンフォニア」と、アイヌ語をタイトルに入れた伊福部昭の「シンフォニア・タプカーラ」を聴いてみたくて、足を運んだ。どちらもリズムが目立つ躍動感のある現代音楽だった。プログラムに収録された吉松へのインタビューが面白い。

2016/11/03(木)(五十嵐太郎)

東京造形大学 ドキュメント1966-2016

会期:2016/10/31~2016/11/12

東京造形大学ZOKEIギャラリー

こちらは受験者用の入学案内を中心とする資料を公開。初期のころの資料が大半だが、さすがにほとんどは大学の所蔵だ。興味を引いたのは、学園紛争華やかなりし1972年にVD(ヴィジュアルデザイン)専攻有志が出した『BEURREST DE SUIF 号外』というアジビラで、「独裁者桑沢洋子学長一派」とか「造形大アウシュビッツ」とか激烈な言葉が飛びかい、「不当処分粉砕!」「自主ゼミ運動貫徹!」といった左翼学生ならではのセリフが並ぶ。73年に入学したぼく(たち)は、最初にこうしたアジビラが放射する毒気を刷り込まれたのだ。ちなみにこのアジビラは大学所蔵ではなく、卒業生で教授を務める春日明夫氏のもの。春日氏はほかにも資料を提供していて、93年の移転時に旧校舎を使って行なわれた「対話□する場。」という展覧会のパンフレットも出している。大学はこうした学生が企画したイベントをアーカイブしないのかな。

2016/10/31(月)(村田真)