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美術 |
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小吹隆文/こぶきたかふみ・美術ライター |
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津田直『漕』 |
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2008年に注目するアーティストとその理由 |
1──津田直
昨年出版した作品集『漕』(主水書房、2007)と、琵琶湖畔の湖山荘で行なわれた出版記念イベントがあまりに素晴らしく、今後の展開に注目せずにいられない。また、制作中(すでに完成?)の、モロッコの遊牧民を取材した新作に期待して。
2──三瀬夏之介
1年間のイタリア留学を終えた彼が、その成果を糧にさらなる飛躍を遂げると思うので。彼に限らず、近年、日本画を出自とする若手アーティスト(大舩真言、マツダジュンイチ、山本太郎、福元なおんど)の台頭が著しく、そうした状況自体がとても気になる。 |
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2008年に期待する展覧会・ムーヴメントとその理由 |
1──塩田千春 展(国立国際美術館)
理由は単純。塩田千春が国立国際美術館のスペースでどれだけのものを見せてくれるのか。その一点。とても期待している。
2──河鍋暁齋 展(京都国立博物館)
若冲、応挙、永徳とヒットを連発している京都国立博物館が選んだ次のターゲットだから。上記3人が16〜17世紀の京都でつながるのに対し、暁齋は幕末、そして江戸。この違いも気になる。 |
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2007年に記憶に残った書物、論文、発言など |
1──松井みどり『マイクロポップの時代──夏への扉』(パルコ出版、2007)
私自身、まだ「マイクロポップ」への態度を決めかねているのだが、21世紀初頭の日本の美術状況を語る上で外せない論考なのは確かだから。
2──森村泰昌作品《なにものかへのレクイエム》における、三島由紀夫に扮した作品でのアジ演説
これまでの彼の作品には見られない直接的なメッセージに驚くとともに、マーケット主導の現在の美術業界に対する危機感を明白に吐露した点で興味深い。空回り覚悟・自爆覚悟の表現が今後も続くのか、要注目。 |
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