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美術 |
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酒井千穂/さかいちほ・美術ライター
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十和田市現代美術館 |
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2008年に注目するアーティストとその理由 |
電子音楽家であり構成作家でもある星憲一朗率いる涼音堂茶舗の活動。 これまで京都や鎌倉の寺院を会場に、ニッポン画家の山本太郎をはじめ、陶板絵画を制作する宮川尚子など、伝統技術を継承しつつ自らの表現に取り組む作家とともに創造的な空間を繰り広げているが、それは毎回、作り手と受け手、土地の特性を含めた場所の関係に新しい可能性を感じさせてやまず、音楽の枠にとどまらない。「大量消費の時代は終わった」という視点で活動を展開するアーティストとしての在り方も興味深く、今年の動きが気になる。 |
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2008年に期待する展覧会・ムーヴメントとその理由 |
町を舞台にしたアートイヴェントは全国各地で行なわれているが、その土地の自然や生活文化という特性や歴史も含めて、さまざまな地域住民との関わりを探る、地方での展覧会やイヴェントがいっそう熱気を帯びて面白くなっている気がする。
国際芸術センター青森や、4月にオープンする十和田市現代美術館の活動など、東北でのアートの動きには特に期待。美術館自体の存在、そこに関わる人々の関係性、地域性、経済と、さまざまな点でこれまでとは異なる問題や可能性があぶり出されてくるのではないかと思う。 |
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2007年に記憶に残った書物、論文、発言など |
──網野善彦『東と西の語る日本の歴史』(講談社学術文庫、1998)
「『なんとなく』縄文・弥生時代から日本人がおり、今後も『なんとなく』『いつまでも』日本はつづく、という曖昧模糊とした現代日本人の意識の背景」を明確にしようとする網野善彦の地域史研究は新しい本ではないけれど、ここには今のアートを見ながら私が考えることや注視したいことがたくさんあった。 |
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