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美術 |
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暮沢剛巳/くれさわたけみ・美術批評 |
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ハンス・アビング『金と芸術』 |
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2008年に注目するアーティストとその理由 |
──林智子
私は予言者ではないし、今後誰が活躍するのか確信をもって語ることはできない。そのため、例年この種のアンケートでは特定のアーティストの名を挙げないようにしているのだが、こと今年に関しては、例外的に1人だけ若い女性アーティストの名を挙げようという誘惑に抗し切れなかった。新たなコミュニケーションの探求に期待したい。 |
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2008年に期待する展覧会・ムーヴメントとその理由 |
1──横浜トリエンナーレ2008
2──ヴェネツィア・ビエンナーレ建築展2008
さしあたり、つい最近国際展に関する本を出版したこともあり、大きな話題を呼びそうな内外の国際展を挙げておくことにする。ほかにも興味深い企画が散見されるが、それ以上に、独立行政法人や指定管理者制度などの導入にともない、展覧会の集客効果にばかり関心が集中している現状が懸念される。 |
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2007年に記憶に残った書物、論文、発言など |
1──ハンス・アビング『金と芸術──なぜアーティストは貧乏なのか』(山本和弘訳、グラムブックス、2007)
2──佐藤道信『美術のアイデンティティー──誰のために、何のために』(吉川弘文館、2007)
3──『近現代日本美術史事典』(東京書籍、2007)
(1)は誰もが気になる両者の関係を抉った痛快な問題提起の書、(2)は制度史研究で定評のある著者の久々の新刊、(3)は最新の研究成果が豊富に盛り込まれた「読む事典」。じつは別のアンケートでもこの3冊を挙げたのだが、変更の必要を感じないのでここでも再度挙げさせていただく。また美術書に限定せずに言えば、宇野常寛「ゼロ年代の想像力」(『SFマガジン』、早川書房)にも大いに刺激を受けた。 |
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