|
美術 |
|
|
白坂ゆり/しらさかゆり・美術ライター
|
|
ゲーム台(倉):泉太郎 |
|
|
2008年に注目する作家とその理由 |
1──泉太郎、小金沢健人、田中功起
世界に起こる現象を研究の対象として映像を制作し、インスタレーションのなかで見せていたアーティストたちが、(以前からですが、より意識的に)物質を扱う立体を同時に手がけ始め、それらの光、音、色、動きや、鑑賞者が動くことで攪拌される空間づくりが気になります。
2──大巻伸嗣
日本で数少ない、スケールの大きな、空間を創造するアーティスト。今年に限らず、長い時間をかけて大きく飛躍すると思います。
ほかに若手では岩永忠すけ、菊地容作、カトウチカ。また、河田政樹、木村太陽のような、コマーシャルギャラリーとなかなか結びつかないながら、美術館での発表が続いている作家の動向も見ていきたい。 |
|
2008年に期待する展覧会・ムーヴメントとその理由 |
1──若林奮展(2月16日〜3月16日、横須賀美術館など)
2──菅木志雄展(2月9日〜3月1日、小山登美夫ギャラリー)
3──鈴木昭男展(ワークショップ、8月、一宮市三岸節子記念美術館)
泉、小金沢(丸亀市猪熊弦一郎現代美術館、神奈川県民ホールギャラリーで個展予定)、田中、河田などと、「関係性」というテーマにおいてつながるところがあるかもしれません。 上記は、個人的関心ですが、横浜トリエンナーレ2008、そして、宮島達男、川俣正、舟越桂ら50年代生まれの美術館での個展にも期待。いずれ、小林正人も開催してほしい。モチーフ的なものとしては、光やライト(照明)(快適な暗さも含めて)を意識したものが昨年あたりから引き続き増えそう。また、ポリティカルな面に斬り込んでいく作品も出てくるように思いますが、パーソナルな視点を掘り下げ、絶えずその表現の質を点検しながら、ということになるかと思います。いずれにしても、目に見えるかたちに落とし込みながら、見えないものを見せようとする傾向が深くなるでしょうし、鑑賞者同士の話し合いの場なども増えていくといいと思います。先々の予定が把握できていませんので、とりあえず日本の作家で考えてみました。 |
|
2007年に記憶に残った書物、論文、発言など |
1──松井みどり「夏への扉──マイクロポップの時代」展開催
中、終了後も行なわれているトークシリーズ。
2──長谷川祐子「SPACE FOR YOUR FUTURE」展関連でさまざまなメディアを使って、「在点」をキーワードに、空間に対する考え方を観客に打ち出したこと。
3──林道郎のA thingsでの現代美術史講座 戦後美術の流れを日-米-欧を全4回で横断するという迫熱した内容。ありそうでほぼ誰も手をつけられていないことだと思います。 |
|
|