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映画 |
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滝本誠/たきもとまこと・映画批評 |
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ジャック・ケルアック『オン・ザ・ロード』 |
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2008年に注目するアーティストとその理由 |
ポール・トーマス・アンダーソン(映画監督) 『ブーギーナイト』『マグノリア』といった集団交錯劇で知られるPTAの新作『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』は意表を突いたものである。原作にアプトン・シンクレアの『石油!』(はるかな昔に平凡社から翻訳あり)というのに驚いた。アメリカが赤く染まっていた20世紀初頭の左派作家シンクレアを21世紀によみがえらす嗅覚に感嘆したのだ!そして、今まさに石油とより巧妙化した弱肉強食の世界がわれわれの世界だからだ。 石油を掘り当て、のし上がる男の欲望と無造作な殺人。ダニエル・ディ=ルイスがこの男を演じるがこれがすごい。 無造作な殺気は、コーエン兄弟の『ノーカントリー』にも、小賢しさはいっさいなく描かれ、これもすごい。
ノワールの極致に達するのが、2008年なのだ。 |
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2008年に期待する展覧会・ムーヴメントとその理由 |
ハードゴアの流れ じつはこのところの映画でテンションがもっとも高く創造性に富んでいるのが、ハードゴア(スプラッター)系作品である。『マーダーライド・ショー2──デヴィルズ・リジェクト』、 『ヒルズ・ハブ・アイズ』の豊かな血の流れは今年はどう展開するのかが、楽しみ。 |
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2007年に記憶に残った書物、論文、発言など |
──ジャック・ケルアック『オン・ザ・ロード』(青山南訳、河出書房新社、2007)
青山南の新訳でこれまで挫折していた読破作業がついに達成。この空気の流れ、ジャズの匂いは私を解き放つ。待望久しい映画化のメガホンをとるのは誰だろうか。 |
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