artscapeレビュー
サラ・イレンベルガー+木之村美穂「Reality & Fantasy」
2013年07月01日号
会期:2013/05/17~2013/08/16
DIESEL ART GALLERY[東京都]
ベルリンを拠点に、雑誌や広告のための立体イラストレーションやウィンドウ・ディスプレイなどのフィールドで活躍するサラ・イレンベルガーの写真とオブジェの作品展。
モチーフは身の回りのありふれたモノなのだけれども、どこかが奇妙。たとえば虹の写真。しかし、柑橘類の皮でできている。金色の林檎。だけれども、髪の毛の束。会場の片隅に立つマイク・スタンドの先には、マイクの代わりに丸い電球が光っている。野菜のドレス、毛糸を編んでつくられた内臓、カット・フルーツのルービック・キューブ、卵の殻のマトリョーシュカ、ザクロの手榴弾、ライターからは唐辛子の炎があがる。表面を削ってふたつにカットされたカリフラワーは、どうみても脳髄。見知ったオブジェがまったく異なる素材でつくられていたり、道具の一部が別のものに置き換えられていたり、モチーフと素材とのギャップからもたらされるユーモアとイメージの二重性に思わず微笑んでしまう。ブラック・ユーモアではない。明るい色彩、手作りのオブジェは、いずれもポジティブで楽しいものばかり。展覧会では本展を企画したクリエイティブ・ディレクター木之村美穂とのコラボレーションによる映像作品も上映されている。白と金色の紙を重ねてひねってつくったポップコーンや、電球型蛍光灯をソフトクリームに見立てた作品は、来日時に合羽橋で入手した素材でつくった新作だそうだ。[新川徳彦]
2013/06/19(水)(SYNK)